コンビニで売られる「恵方巻き」の闇

節分の日に行われる行事といえば、多くの人が最初に思い浮かべるのが「豆まき」である。

しかし、世間の反応を見ると、近年では「恵方巻き」の方が節分の代名詞として扱われている風潮が強い気がする。

毎年、この時期のニュースには必ず恵方巻きの特集が組まれるし、スーパーに行けば、数日前から恵方巻きの看板が立ち並んでいる。

ここまでくると、もはや完全に日本の文化として根付いた、と言えるかもしれない。

ただ……残念ながら、それは私にとってはあまり嬉しくない事態である。

何故なら、私は恵方巻きの闇を知っているからだ。

全国で恵方巻きが認知されるにつれ、徐々に恵方巻きを取り扱う店が多くなった。

今では手軽さがウリのコンビニですら、当然のように本場の「恵方巻き」を取り扱っている。

しかし、これこそがまさしく恵方巻きの闇なのだ。

コンビニで働いたことのある人ならば、もうお分かりだろう。

恵方巻きの闇とは、コンビニでの販売ノルマのことだ。

ここでいうノルマとは、店側の販売ノルマのことではなく、店員個人に設けられたノルマのことを指す。

コンビニ事情をあまり知らない人には信じられないことかもしれないが、このノルマはアルバイトにも同様に架せられている。

過去、私がアルバイトをしていたコンビニ店でも、この恵方巻きのノルマがあった。

バックルームの壁には、誰がどれくらいの恵方巻きを売ったのかを一目でわかるようにと、線グラフの表が貼られていた。

当時は、私が働いていた店が特殊なのだと思っていたが、ネットを見ると、販売ノルマに苦しむアルバイト店員達の悲痛の叫びが溢れ返っている。

どうやら、この闇(ルール)は決して珍しい物ではないようだ。

さらに、このルールにはもう一つ、アルバイトの身には非常に辛い誓約が架せられている。

ノルマが達成できなかった場合は、売れなかった恵方巻きを自分で買い取らなければならないのだ

これが本当に辛かった……。

時給1000円にも満たないアルバイトの身分にとって、数十本の恵方巻き代は大金である……。

しかも、それをほぼ強制で買わされるのだから非常にやるせない気持ちとなった。

当時は仕方のないことだと思っていたが、いま改めて考えてみると、どう考えてもこのルールはおかしい。

何故、ただのアルバイトに販売ノルマが架せられ、さらには売れ残った商品を自腹で買わなければいけないのか。

たしかに、コンビニ事情を知る者としては、オーナーの気持ちもわからなくもない。

本社からは恵方巻きの購入を催促され、売れ残った恵方巻きは全て店側が負担しなければならないこと、そのことは熟知している。

だが、それでも私は声を大にして言いたい。

このやり方は絶対に間違っている!

最近のコンビニは、本当に色々なサービス制度がある。

しかし、それは裏を返せば、店員にそれだけの負担が掛かっているのだ。

私が働いていた時ですら覚えることが多くて大変だった記憶しかないのに、今ではそれを上回る過剰サービスぶりだ。

その影響か、近年のコンビニはアルバイトの人手不足が深刻化していると聞く。

それに加えてアルバイトにノルマを架す店が増えれば、今後ますますコンビニの人手不足は加速するだろう。

私は、この経験をして以来、恵方巻きの文化を素直に楽しめなくなった。

恵方巻きを見ると、どうしてもその裏にあるコンビニ店員達の苦悩を想像してしまうからだ。

正直なところ、このような事態を引き起こすくらいなら、恵方巻きなどコンビニからくなってもいい、とさえ思っている。

もし、この記事を読んでいる中に、店を経営している人がいるならば、アルバイトにノルマを架すような真似は絶対にしないでもらいたい。

それはやがて、回りまわって必ず自店の不利益に繋がるのだから。

どうか、これ以上アルバイトのような弱い立場の者に負担を強いらないでほしい……。

ただ、この件で唯一救われたのは、ネットの意見の大半は私と同じように、アルバイトにノルマを架すことに反対している人が多いことだ。

やはり、この「恵方巻きの闇」には多くの人が不快さを感じているらしい。

まだまだ世間も捨てたものではないかもしれない。

そう思えたことが、素直に嬉しかった。

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