良い大学、良い会社に入ることへの幻想

良い大学に入って良い会社に入る。

これこそが約束された人生の成功ルート。

あなたはこのような思考をお持ちではないだろうか。

今でこそ大分減ったが、未だにこのような考えをもつ人は一定数いる。

もし、あなたもそうであるならば、それはきっとあなたの親の教えが原因だ。

誤解されないように言っておくが、あなたの親が悪いと言っているわけではない。

そのレールは、あなたの親の世代にはたしかに有効だったのだ。

だが、その考えを今の時代に当てはめるのは非常に危険だ。

何故なら、あなたが今生きている世界は、もはや親の世代とは全くの別世界なのだから。

もし、あなたがそのことを何も知らないでいるとしたら……。

今回の記事を読み終わった後、あなたはきっと驚きと落胆の両方を受けることになるだろう。

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就職活動の違い

良い会社(大企業)に入るためには、良い大学(有名大学)に入ることが必要だ。

この考えを要約すれば、良い大学に入れば良い会社に入ることは簡単だ、ということを示している。

だが21世紀以降に就職活動を経験した者ならば、このことに疑問を持つだろう。

どんなに有名な大学に入学しても、大企業どころか、一つも内定をもらえない者も今の時代では珍しくないからだ。

これには昔と今の就職活動のシステムの違いが大きく関わっている。

現在の就職活動のスタンスは、最初にリクルート会社に登録し、次に書類選考、筆記試験、それらを通過して一次、二次面接に進み、ようやく最終面接に辿りつく、というのが定番だ。

近年就職活動をした者ならば、特に疑問を持たない手順だが、昔はこれらが全てなかったのだ。

1980年後半頃までの就職活動というものは、企業側が学生を確保するためのものだった。

いかに学生を多く取るか、それが企業の狙いだった。

そのため、早々に入社を決めてくれた学生には、他の企業に取られないようにと「ハワイ」などに招待し、バカンスという名の隔離作戦を取る会社も存在した。

これらは良い大学と呼ばれる学生ほど、その恩恵も高かった。

もちろん普通に就職活動をする学生もいたわけだが、こちらも今の現状とは違う。

就職活動で行うことは面接のみだ。

その面接内で内定が決まることも普通のことだった。

さらに、面接にきてもらった学生には、交通費を支給することも当然の義務として行われていた。

今のように書類選考から始まり、筆記試験をすることなど、当時ではありえないことだ。

このような就職活動を経験した者にとっては、いかに良い大学に入るかが良い会社に入るための重要ポイントだと認識するようになる。

だがバブル崩壊後、企業側は徐々に人選を絞るようになっていき、今では良い大学出身というだけでは何の関心も持たれなくなっている。

「学生時代に何をしていたか」「部活は入っていたか」「資格を持っているか」

企業側はその人物の中身を重視する。(私としてはこのような質問で人間の中身を測れるとは思わないが……)

しかし、このような就職活動の現状を知らない世代は、今でも良い大学に入ることが良い会社に入るための近道、と信じて疑わない。

だからこそ、自分の子供や孫にもそのことを必死に教え込む。

だが、親の思惑とは裏腹に、それを信じた子供が就職活動で挫折する事例は後を絶たない。

働く環境の違い

働く環境もまた親の世代とは違う。

【年齢にとらわれないことの大切さ】でも少し触れたが、昔は生涯その会社で働く終身雇用制度が保証されていた。

一億総中流という言葉が示すように、雇用形態も全員が正社員であることが普通だった。

そのため、生涯設計も立てやすく、家や車などローンを組んで買うことも特に悩む必要もなかった。

だが、現在の状況は一変して違う。

雇用形態は派遣制度の解放により、企業は一気に正社員枠を減らし、その正社員ですら能力のない者やコストの高い人材には容赦なくリストラを突きつける。

昔のように、大企業に入れば生涯安泰という保証はなくなった。

これにはITの発展も大きく関与している。

昔の職場環境には携帯電話もなければインターネットすらない。

そのため、一つのことを調べるだけで、一日の大半を費やすことも珍しくはなかった。

それでも皆が協力し合い「仕事で困った時はお互いさま」という人情での絆が存在したのだ。

国民的アニメ「サザエさん」をご存知だろうか。

イメージとしては、あのような雰囲気である。

皆がゆるやかな表情で働ける環境では、現在のように自分の生き残りをかけて働くギスギスとした雰囲気は一切なかった。

急速なITの発展は、たしかに私達の暮らしを豊かにした。

だが皮肉にも、そのせいで簡単な仕事は全てITに取られ、必然的に人間に求められる物が高くなってしまった。

今では新人ですら即戦力と呼ばれるようなスペックの高さを求められる。

コスト、即戦力、効率化、このようなことばかりに捉われた企業では、昔のような人間同士の繋がりは稀薄になってしまったのだ。

自分の人生を生きる

以上のように「就職活動」「職場環境」それらの全ては親の時代とは全くの別世界である。

にも関わらず、親は子供に自分の時代の価値観を押し付け、それを信じた子供は、大人になってから現実を知り絶望を強いられる。

あなたは大企業に入社した新入社員が、3年以内に3割も辞めていくことをご存知だろうか。

親の言いつけを必死に守り、受験戦争、就活戦争をくぐり抜け、そこで手にした良い会社という場所が、信じてきたゴールとは程遠い物だと悟った時の心境……。

そのギャップに、彼等は心をえぐられたような虚無感を感じたはずだ。

この記事を読んでいる中にも、そのような心境になった人もいるかもしれない。

自分は何のために親のいいつけを必死に守ってきたのか……こんなことなら自分の思う通りにやってくれば良かった。

頭ではわかっていても今更どうすることもできない、もしかしたらそう考えているかもしれない。

それでも私は断言する。

親の言うことを聞くな、と。

今のあなたは、恐らく、漠然とした不安を抱えているはずだ。

その不安がどこからきているのか、あなたは理解しているだろうか。

それは、人生の前例がないという恐怖からだ。

前述したように、現在はただ会社に属しているだけでは将来の保証は何もない。

それでも辞めるのをとまどってしまう理由……。

それはそれ以外の生き方を知らないことが原因だ。

だからこそ現状に不満を抱えながらも、親の教えてもらったレールに必死にしがみつこうとする。

しかし、そう考えてしまうのも無理はないのかもしれない……。

残念ながら、現在の環境で生きてきた者の前例がない以上、道は自分で切り開くしかないのだから。

それでも私はあなたにこの言葉を送りたい。

人生は親のためにあるのではない。

たった一度の人生、あなたは親を喜ばせるためだけに生きていていいのだろうか。

自分の夢はないのだろうか。

誤解されないように言っておくが、別に今の会社を辞めろと言っているわけではない。

その場所で何かしら生きがいを見つけられたのなら、それは決して悪いことではないのだから。

けれども、もしあなたが毎日の日常を、自分でもわからない漠然とした不安や不満で苛まされているとしたら……。

それはきっと、あなたが自分の人生を生きていないからだ。

あなたも本当はわかっているはず。

自分が本当は何をしたいのか、そのためには何をするべきなのか。

あなたはその気持ちを誤魔化すために、親から教えてもらったレールで心にフタをしているだけなのだ。

自分の人生を生きるために必要なこと、それはほんの少しの勇気だけだ。

本当にこれだけなのである。

どうか怖がらずに、自分の本当の気持ちと向き合ってほしい。

あなたがたった一度の人生を、悔いが残らないように生きようと決意してくれることを、私は切に願う。

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