『しくじり先生』坂本ちゃんの人生から学ぶ「正しい親子のあり方」

前回の記事では、『しくじり先生』に出演した「新庄剛志」のことを取り上げた。

じつは、この回にはもう一人、人生で重大なしくじりををおかした芸能人が出演していた。

それが「坂本ちゃん」である。

この回はどうしても新庄の方に注目が集まりがちなのだが、話の重さでいえば、私は間違いなく坂本ちゃんの方が勝っていると思う。

なぜなら、坂本ちゃんのしくじりは親子のあり方を考えさせられるからだ。

今回は、そんな彼のしくじりについて、私なりの自論を述べる。

本題に入る前に、まずは坂本ちゃんのことを軽く説明する。

坂本ちゃんといえば、2000年に放送された『電波少年』という番組で、大ブレイクした芸人である。

この番組内の「東大一直線」という企画で、算数もロクにできない状態から見事に八校の大学に合格し、世間に一躍その名をとどろかせた。

放送後はあらゆる番組から声が掛かり、当時の最高月収は900万円にも昇ったそうだ。

それほどまでに大活躍した彼だが、現在の生活は、風呂なしの家賃五万の家に住み、友達が経営するバーで週一のアルバイトをして生計を立てているそうだ。

売れていた時の彼からは想像もできない生活ぶりである……。

なぜここまで落ちぶれてしまったのか……。

その原因が、今回取り上げた彼の「しくじり」にある。

端的に説明すると、彼は家族にお金を貸したのだ。

その金額はなんと総額にして2000万円。

いくら彼が売れっ子芸人だったとしても、この金額はあまりにも大きすぎる。

当時、彼が売れ出した後、突然母親からお金を貸してほしいと連絡があったそうだ。

最初は「5万円貸してほしい」と言われ、坂本ちゃんが快くそのことを了承すると、なんと三日後に再び10万円を要求される。

その後もお金は何度も要求され、その度に金額は上がっていった。

さすがにこれはおかしいと思った坂本ちゃんが、母親からの連絡を無視すると、今度は弟から連絡が入る。

案の定、弟からもお金を貸して欲しいと言われ、「これが最後だから」という言葉を信じ、坂本ちゃんは1000万円もの大金を渡した。

当然ながら、その言葉が守られることはなく……1000万円を渡した後も相変わらずお金を要求される日々が続いた。

こうして悩みに悩んだ結果、坂本ちゃんは苦渋の選択で家族と絶縁することを決断した。

その絶縁関係は今も続いており、かれこれ13年間も顔を合わせていないらしい。

私がこの話を聞いて最初に感じたことは、やはりお金の魔力は怖いということだ。

今回の坂本ちゃんの件は、まさに私が「お金の貸し借りには相当な覚悟が必要」で話したように、家族のまで壊している。

坂本ちゃんは自身のしくじりについて、「家族だからこそちゃんと話し合わなければいけなかった」と話していた。

たしかに、理由も聞かずに安易にお金を貸した坂本ちゃんにも非はあるだろう。

しかし、私はそれよりも、根本的な原因は坂本ちゃんの間違った倫理観にあると思っている。

それは坂本ちゃんが話した「家族だからこそ」という言葉に隠されている。

子供が親を助けるのは当たり前。

番組内の話を聞く限り、彼の中にはこの倫理観が根付いているように思えた。

もちろん、この倫理観が悪いわけではない。

子供が親孝行をすることは、とても素晴らしいことだ。

しかし、それが素晴らしいと思えるのは、お互いが家族として認識している場合の話だ。

「毒親の呪縛」で話したように、世の中には、子供にとって毒でしかない親は確実に存在する。

たとえ子供が親を敬愛していても、毒親は平気で子供を切り捨てる。

その事実を受け止めず、単に親子だからという理由で相手に信頼を寄せるのは非常に危険だ。

坂本ちゃんの子供時代の話を聞く限り、坂本ちゃんの母親は毒親とまではいかないかもしれない。

しかし、今回おかした行動はかぎりなくそれに近いことだ。

本来、本当に子供のことを愛している親ならば、決して子供の足を引っ張るような真似はしないはずである。

坂本ちゃんが母親からの電話を無視していた時、40件もの留守番電話を入れてお金を要求してきたことは異常としか言いようがない。

これは、当時の母親が坂本ちゃんのことを利用の対象としか見ていなかった証拠だ。

恐らく、坂本ちゃんもそのことは薄々気づいていたのだろう。

しかし、最後の最後で彼の心に残る親子の倫理観がそのことを認められなかった。

坂本ちゃんの身になれば、自分の親にそのように扱われることは本当に辛いことだったと思う……。

だが、私はそれでも、あの頃の彼には心を鬼にして親を拒絶するべきだったと断言する。

なぜなら、子供の不幸の元に成り立つ幸せは、本当の親の幸せとは言えないからだ。

もう一度言うが、本来、親の一番の幸せは自分の子供が幸せになってくれることなのだ。

にも関わらず、自分の子供に何度もお金を要求することは、親として最低の行為だ。

もちろん、お金を貸すことが全て悪いと言っているわけではない。

お金を貸すことで本当に助けになるのなら、時には貸してあげることもいいだろう。

しかし、貸したお金が返されてもいないのに、さらにお金を追加要求されるようならば、それはもう親子の絆ではない。

そこでお金を貸し続けても、後に残るのは破滅への道だけだ。

坂本ちゃんの例でいえば、結果的に絶縁という最悪の結果になってしまった。

ここからわかるように、一方的な信頼関係では、親子の絆は作れないのである。

坂本ちゃんが間違った倫理観にとらわれてしまったことには、決定的な原因がある。

それは親への罪悪感を持っていたことだ。

坂本ちゃんは、自分のことをデキの悪い子供だったと言っていた。

なまじ兄弟のデキが良かっただけに、余計にそのように感じていたのだろう。

彼の心の中にはいつも、「親に苦労をかけた」という自責の念が渦巻いていたと思われる。

だからこそ、「いつか恩返ししたい」という気持ちが先行し、今回のような事態を招いてしまった。

だが、これも私に言わせれば間違った考え方だ。

何度も言うが、親の本当の幸せは子供が幸せになることだ。

子供が「親の幸せ」を考えることなど、ハナから間違っているし、そんなことでは親を幸せになどできはしない。

そうではなく、ただ自分が幸せになることだけを考えていれば良かったのだ。

その先にこそ、本当の親の幸せはあるのだから。

もし、あなたが坂本ちゃんと同じように、「自分は親に苦労をかけた」と思っているのなら、必ずこのことを自覚してほしい。

そうしなければ、坂本ちゃんのように、間違った「親子のあり方」にとらわれてしまう。

私はこの番組を見終わった後、坂本ちゃんの今後が凄く心配になった。

というのも、番組の最後で、坂本ちゃんの弟がVTR越しに登場し、過去のことを謝罪する場面があったからだ。

それを見た坂本ちゃんは涙し、いつか会いたいと話していた。

だが、個人的な意見を言えば、私は坂本ちゃんは家族と会うのはやめた方がいいと思っている。

彼は優しすぎる……。

会えばきっと情に流され、過去の教訓を無意味にしてしまう危険性がある。

坂本ちゃんほどの人間が、どうして家族と絶縁することを選んだのか……。

その苦悩の末に決断した自分を否定しないでもらいたい。

もし、どうしても会いたいというならば、それは坂本ちゃんが心から今の自分が幸せだと断言できる時だ。

そうなる前に家族と会っても何も変わらないし、最悪の場合はまた元の坂本ちゃんに戻ってしまうだろう。

彼は今、前進している。

その前進している自分の道を、後退するような真似だけは絶対にしないでもらいたい。

もし、この記事を読んでいる中に、彼の知り合いがいるのなら、そのことを伝えてくれると幸いだ。

スポンサーリンク

シェアする

フォローする

スポンサーリンク