日本で血液型の話をすれば、多くの人は性格を思い浮かべるはずだ。
血液型と性格の関係は決して科学手根拠があるわけではないのだが、もはや占いの域を超える通説として扱われている。
よって、相手に自分の血液型を言うと、瞬時に「あ~こういう性格なのか」と決めつけられてしまう。
そのことで特に被害を受けているのが、B型の人だろう。
世間一般のB型のイメージといえば、「ワガママ」「自己中心的」「変わり者」など、マイナス要素が多い。
酷い場合は、B型というだけで敬遠されることもあるほどだ。
ここまで偏見を助長する血液型性格診断だが、意外にもこのことに異を唱える者は少ない。
今回は、そんなB型の偏見を覆すため、血液型と性格は関係ないことを理由をつけて説明する。
B型の偏見を取り払った友人との出会い
冒頭で血液型と性格は関係ない、と否定した私だが、過去の私は全くの逆だった。
当時は、血液型と性格は絶対に関係している、と信じて疑わない人間だった。
というのも、私自身の性格が血液型性格診断に当てはまっているからだ。
私は「神経質」であり、まさにA型の特徴と一致している。
自分自身が血液型の性格に当てはまっていることで、その信憑性に拍車をかけてしまったのだ。
そのため、過去の私はB型の人間に酷く抵抗を感じていた。
その抵抗感は凄まじく、相手がB型と知ると、すぐに警戒心を抱くほどだ。
そんな私の価値観が変わったのは大学時代。
この頃の私は、人と関わることを酷く煩わしいと思っていたため、本当に気の合う者としか関わらないようにしていた。
遊びの誘いや飲み会なども極力断り、人間関係は最小限に留めていた。
そんな私だったが、積極的に関わりたいと思った人物が一人だけいた。
ここでは彼の名前をTとする。
Tは頭が良く、私の大学の首席だった。
元々理数系の人間だったこともあり、雑学の知識が豊富で、文系の私にとってはTの話は興味深いものばかりだった。
人生観が私と似ていたこともあり、Tとは自然に一緒にいることが多くなった。
なので、当時の私はTは絶対にA型かO型だと思い込んでいた。(A型と相性が良いのはA型とO型とされているため)
そう確信してはいたが、念の為と思い、ある時Tに血液型を尋ねてみたのだ。
すると、Tは深いタメ息をつき、「お前血液型なんて信じてるの?」と心底落胆した表情を見せた。
そうしてTが口に出した血液型は、なんとB型だったのである。
私はショックだった……。
Tとは本当に気の合う友人だと思っていただけに……まさかのことだ。
普段の私なら、ここで真っ先に関係を切るところなのだが、Tには思い入れが強かっただけに、どうしても踏み切れない。
「B型としてのT」と「友人としてのT」、その両者の葛藤に挟まれ、私はしばらく悩みこんだ。
そんな私の葛藤を読み取ったのか、Tは私に血液型と性格の関係性を説いてきた。
血液型と性格は関係ない理由
ここでは、Tから教わった「血液型と性格が関係ない」ことを示す知識の中で、私が特に衝撃を受けた事を紹介する。
まず、私が一番誤解していたのは、血液型がどのように分類されているのか、ということだ。
過去の私は、血液型を分類する要因は「血」だと思っていた。
A型ならA型の血、B型ならB型の血、という様に、血自体の「質」がそれぞれの血液型で違うと思っていたのだ。
しかし、実際はそうではなく、血液中の血球に存在する「抗原」によって分類されているのである。
A型はA抗原を含み、B型はB抗原、0型は両方なく、AB型はAとB両方の抗原を含んでいる。
知っている人からすれば基本的なことではあるが、過去の私同様に、このことを知らない人は案外多い。
そして、この抗原で分類されることで、もう一つ知っておかなければならない大事なことがある。
それは血液型の分類方法は一つではないということだ。
普段、私達が使っている血液型は「ABO式」と呼ばれるもので、これは知っての通り四つに分類されている。
だが、実際はもっと多くの分け方があるのだ。
その一つの例を出すと、「Rh式」である。
血液型にはABO式以外にも様々な分け方があり、その数は現在では約300種類と言われている。
Tが言うには、もし抗原が性格に関係するのなら、それらすべてに影響を受けるはずであり、ABO式だけによって性格が決定されるのはおかしい、と言うのだ。
同じB型同士でも抗原の組み合わせは一人一人違うのだから、それをたった四つの性格に分類するのはありえない、と。
私は、このことを聞いて心底納得した。
今までは漠然と血が違うと思っていた血液型だったが、実態を知ればこういうことだったのだ。
血液型と性格の関係性を信じる人達の理由
Tの話を聞き、私は初めて血液型と性格は関係ない、と思うことができた。
Tも今までB型ということで色々と偏見を受けてきたのだろう。
話を聞くに、過去にはそのことで深く傷ついたこともあるようだ。
ただし、Tは自分がB型だということを決して恥じていなかった。
B型に偏見を持つ人に対しては、「そういう奴には何言っても無駄だから」と開き直っていた。
偏見に負けない彼の心の強さは本当に尊敬する。
そもそも、なぜ世間には血液型と性格は関係ある、と信じている人がこうも多いのだろうか。
T曰く、それは「人を枠にはめて考えたいから」だという。
たしかに、その通りかもしれない。
現に、過去の私もB型には「得体が知れない」イメージがあり、B型の人に対して未知の恐怖を抱いていた。
だからこそ、B型とはこういう性格だ、と決めつけることで安心していた部分がある。
だが冷静に考えれば、人間は一人一人違うのが当たり前であり、血液型で相手の性格を理解できるはずがない。
Tは、私にそのことを気づかせてくれた。
今では、私はもうB型に対する偏見は持っていない。
それはTから教わった知識だけが理由ではなく、大きな要因は、Tが私にって大事な友人だからである。
今まで出会ってきた「嫌な奴」や「気が合わない人」にもA型やO型はいた。
それなのに、相性の悪いと言われているB型のTの方が私と気が合うのである。
血液型という先入観で、せっかく出会えた「気の合う友人」を失うのはもったいない、そう思ったのだ。
もし、あなたも「血液型と性格は関係ある」と思っているのなら、その考えは今すぐ改めた方が良い。
その先入観のせいで、あなたにとっての「運命の相手」を見逃すことになるかもしれないのだから。
ちなみに、私もよく変わり者と言われるので、試しに自分がB型だと告げたことがある。
その時の反応は「あ~やっぱり」というものだった。
血液型なんて、所詮はそんなものである。
あれはアクマで占いの領域であり、科学的根拠など何もないのだ。
今後は相手の性格を血液型で判断せず、自分自身で見極めることを心掛けて欲しい。