ニートや社会不適合者が生きていくうえで、最も苦悩するのが「仕事探し」である。
たとえ、どんなに本人に更生する意志があったとしても、「仕事探し」に失敗すれば、その気持ちは全て無駄になってしまう。
しかし、それほどまでに重大なことにも関わらず、ニートや社会不適合者は「仕事探し」が非常に下手である。
それは一体何故なのか。
その理由は、彼等が仕事探しの規準を理解していないからだと思われる。
そこで今回は、私自身の経験も踏まえて、ニートや社会不適合者が自分に合う仕事を見つけるための方法を伝授したい。
自分がニートや社会不適合者だと自覚していて、それでも社会に溶け込みたいと願う人は是非一読してほしい。
ニートや社会不適合者は「普通の人」とは違う
ニートや社会不適合者が自分に合う仕事を見つけるためには、まず初めにやらなければいけないことがある。
それは人によっては耐え難いことかもしれない。
しかし、それをしなければ永遠に自分に合う仕事を見つけることはできない。
その答えは、自分が普通ではないことを自覚することだ。
ここでいう「普通」とは、いわゆるスーツを着たサラリーマンやOL体系のことを指す。
これは私自身が自ら経験して実感したことだが、我々のようなニート気質や社会不適合者の人間が組織で働くことはまず無理だ。
厳密にいえば、組織内で「居場所」を作ることが無理なのである。
現在のサラリーマンは、ただ単純に「業務」をこなせばいいというわけではない。
業務をこなすのは当たり前のことで、それにプラスして「企業の将来を担える人材」になることが求められる。
よって、組織で働くにおいて何より重視されるのが「コミュニケーション能力」だ。
このコミュニケーション能力というのも、単純に「協調性」のことを指しているわけではない。
社会人においてのコミュニケーション能力とは、相手の話を理解する「聴取力」、不明な点を明確にして聞き出す「質問力」、自分の話をわかりやすく相手に伝える「説明力」など。
簡単にいえばビジネス能力のことである。
これらができて、初めて「仕事がデキる人」と認定されるのだ。
もうお分かりの通り、これはニートや社会不適合者にとっては非情にハードルの高いことだ。
そもそも、このスキルを持っているならば、最初からニートや社会不適合者になるはずがない。
にも関わらず、ニートや社会不適合者は必死にこの「普通」を追い求め続ける。
それは親や世間の意見に流され、「普通」に働くことがあたかも簡単であると錯覚しているからだ。
だが断言するが、この「普通」とはニートや社会不適合者ができることの許容量を超えている。
仕事ができる人からすれば「普通」に感じても、ニートや社会不適合者にとっては「特別」なことなのだから。
「普通」を侮ってはならない。
多くの人と違い、ニートや社会不適合者にとっての「普通」の基準はもっと下にあるのだ。
まずはそのことをきちんと理解すること。
それこそが、ニートや社会不適合者が自分に合う仕事を見つけるための最初のステップである。
仕事を給料で選ばない
前項では、ニートや社会不適合者が仕事探しをするための準備段階を説明した。
しかし、ニートや社会不適合者が自分に合う仕事を見つけるためには、もう一つ理解しておかなければならないことがある。
このことは前項で話したことと同じくらい大事なことなので、しっかりと心に留めてほしい。
それは、仕事を給料の高さや社会保障の有無で選ばないことである。
多くの人は、求人票を見てまず最初に着目するのが給料だ。
たとえどんなにやりたい仕事だったとしても、給料が自分の希望に沿わなければ、就職候補から外すのが一般的だろう。
働くことはお金を稼ぐためであり、これ自体は悪いことではない。
しかし、それはアクマで「普通の人」の考えである。
ニートや社会不適合者は絶対に真似をしてはいけない。
前述したように、現代の「普通」の仕事には「業務以外」のスキルが求められる。
よって、給料が高いということは、それだけ「求められるもの」も高くなるということ。
どんなに給料が高くても、それを受け取れなければ意味はない。
仮に給料の高い仕事に就けたとしても、ニートや社会不適合者はすぐ辞めるのがオチだ。
そうではなく、ニートや社会不適合者が仕事探しで重視しなければいけないのは「続けられる」かどうかである。
この仕事は本当に自分に適しているだろうか、長く続けていけるだろうか。
そのことを真剣に考える必要がある。
間違っても「親」や「普通の人」の意見を鵜呑みにして、社会保障や福利厚生、給料の高さ、などで仕事を選んではいけない。
ニートや社会不適合者は「普通の人」とは違った視点で仕事選びをしなければならないのだ。
そのことを認識することが、ニートや社会不適合者が自分に合う仕事を見つけるための第二のステップである。
自分に合う仕事の探し方
第一、第二ステップを経て、ようやくニートや社会不適合者は仕事探しに取り掛かることができる。
この項目では、具体的な仕事探しの方法を伝授したい。
そのために知って欲しいのが、ニートや社会不適合者が仕事探しをするためには順序があるということだ。
そこで、まずはその方法を順番に説明していく。
注意してほしいのが、上の項目を飛ばして下に進むのはいいが、順序を入れ替えることは絶対にしてはいけない。
そのことを頭に入れ、この方法を順番に試してもらいたい。
では、そのやり方を説明していく。
①興味・関心のある仕事を選ぶ
最初に選択肢に入れるのは、何よりも自分の興味・関心のある仕事だ。
世の中には「仕事は辛いものだ」と言う人もいるが、それは間違っている。
本当に自分が興味のある分野なら、仕事は辛くなどならない。
仕事とは、人生の多くの時間を費やすもの。
仕事が辛いならば、それは人生の多くを辛い時間で過ごすということだ。
もちろん、【意欲的に働く人の三つのパターン】で話したように、それでも頑張れる人達は世の中に存在する。
しかし、ニートや社会不適合者に限って、それは100%ありえない。
なぜなら、ニートや社会不適合者にとっては、仕事を続けること自体が一つのハードルなのだから。
それを回避するためにも、自分が興味のある仕事に就き、少しでも仕事を続けられる可能性を高めるべきだ。
自分が本当に興味のある分野なら、多少辛いと感じても辞めようとは思わない。
結局、「仕事は辛いものだ」と唱える人達は、自分の本当の気持ちを誤魔化すために言い訳をしているに過ぎないのだ。
そのような言葉に惑われず、ニートや社会不適合者は自分が興味・関心のある仕事を選ぶべきである。
②自分が得意な仕事を選ぶ
興味・関心のある分野がない、という人は次に自分が得意な仕事を選ぶべきだ。
人には向き・不向きというものがある。
選んだ仕事が自分に全く向いていないと感じるならば、その仕事の苦痛さは何倍にも膨れ上がるだろう。
これでは仕事を続けることは不可能である。
逆に、自分が「得意なこと」を仕事にすれば、それだけで長続きする可能性が高くなる。
得意なことを仕事にすることは、他にも大きなメリットがある。
それは、仕事を覚える労力が大幅に軽減できることだ。
仕事が苦痛だと感じる理由は、仕事ができないからである。
だが、最初から得意なことを仕事にすれば、それだけであなたは他の者より一歩リードすることができる。
そうなれば、職場の人間関係にも良い影響をもたらす。
なぜなら、周囲は自然にあなたを「仕事ができる人」とみなすからだ。
当然だが、職場では「仕事ができる人」は重宝される。
あなたが得意なことを仕事にすれば、それだけで周りはあなたを大切に扱ってくれるだろう。
まさに、自分が得意なことを仕事にすることは、全てにおいて良いことづくめなのだ。
③苦ではないことを仕事にする
興味のあることも得意なこともない、という人は最後の項目に移行する。
それが「苦ではない仕事」だ。
得意とまではいかないが、その仕事をしていて特に苦には感じない。
これもまた立派な仕事選びの要素である。
この「苦ではない」ということも、人によって多種多様なのだ。
その最も代表的なことが「暇」と「忙しい」だろう。
仕事の種類によっては、この「暇」と「忙しい」の差が激しい。
私のような人間にとっては断然「暇」な方がいいのだが、それとは逆で、常に忙しい方がいい、という人も世の中には存在するのだ。
他にも「早朝に働くこと」「夜間に働くこと」や「じっとしていること」「動き回ること」など。
このような対比から自分の適正を探すのも、仕事選びには非常に重要である。
自分が何をしている時に苦ではないのか。
ニートや社会不適合者はそのことを深く考え、続けられる仕事を選ぶべきである。
ニートや社会不適合者に向いてない仕事
以上が、ニートや社会不適合者の仕事の探し方である。
上記に書いたことを実践すれば、比較的簡単に自分に合う仕事を見つけられるはずだ。
ただし、中にはニートや社会不適合者がやってはいけない仕事というものがある。
ここでは、そんな「やってはいけない」仕事について述べることにする。
その仕事とは、ずばり「事務職」だ。
事務職と聞くと、大半の人は「楽そう」と考えるだろう。
実際、求人の中でも人気がある職業だし、ネットでも「楽な仕事」の代名詞とされている。
しかし、これもやはり「普通の人」ならばの話である。
これは私自身が実際に体験してわかったことだが、ニートや社会不適合者は事務職には不向きである。
その理由として、事務職は「複数の仕事」を同時進行でやらなければならないからだ。
電話対応やコピー取りはもちろんのこと、他の部署からもあらゆる仕事を押し付けられる。
たとえ本業の仕事が残っていたとしても、そんなことはお構いなしだ。
特に「総務」や「人事」などはこの傾向が強い。
やはり、職場内でも事務職というのは一番「扱いやすい」立場だと思われているのだろう。
つまり、事務職には複数の仕事を同時にこなす「マルチタスク」能力が求められる。
基本的に、ニートや社会不適合者は一つのことにしか集中できない「シングルタスク」であり、「マルチタスク」が求められる仕事は向いていない。
さらに付け加えるならば、事務職というのは「人間関係」が強く反映される。
一日中職場にいる事務職は、人間関係を円滑にするための「コミュニケーション能力」は必要不可欠だ。
このことも、ニートや社会不適合者が事務職に向いてない要因である。
もちろん、事務職といっても「プログラマー」など、一つのことに集中して行う仕事ならば問題ない。
厳密にいえば、事務職に限らず「マルチタスク」が求められる仕事が不向きなのである。
ニートや社会不適合者は「シングルタスク」でできる仕事を選ぶべきだ。
仕事を続けることで得られるもの
ここまで、ニートや社会不適合者が自分に合う仕事を見つけるためのプロセスを解説してきた。
読んでもらえればわかるように、ニートや社会不適合者が自分に合う仕事を見つけるためには、「普通の人」とは違う視点で物事を考えなければならない。
ニートや社会不適合者には、それ専用の戦略が必要なのだ。
しかし、難しく考える必要はない。
色々と書いてきたが、要は「続けられる仕事」であれば何でも良いのだ。
私がここまで「仕事を続ける」ことが大事だと力説するのには理由がある。
それは、ニートや社会不適合者に自信を取り戻してほしいからだ。
ニートや社会不適合者は自分に自信がない人が非常に多い。
自分は駄目な人間だ……。
自分は生きる価値がない……。
このように、自分自身を責め続けては自己嫌悪に陥っている。
しかし、それは今まで自分に合う仕事が見つけられなかっただけのことであり、逆にいえば、たったそれだけの話である。
あなた自身の存在価値とは何も関係のないことだ。
自分に合う仕事を見つけ、仕事を続けることができれば、必ずあなたは自分を誇れる時がくる。
そのためにも、「自分にも働くことができる」ということを肌で実感する必要があるのだ。
どうか、そのことを頭に入れ、もう一度自分という存在を認めてあげて欲しい。
親や世間の言う事を真に受け、「普通」とは違う自分を恥じる必要はどこにもないのだから。
あなたが自分に合う仕事を見つけ、心から自分の存在価値を認められる日がくることを私は切に願っている。