ヤマト運輸の値上げは本当に必要なのか

ヤマト運輸が料金の値上げを検討していることをニュースで知った。

実現されれば、じつに27年ぶりの値上げになるとのこと。

今回の値上げの要因として、ネット通販の拡大によるドライバー不足の深刻化が挙げられている。

たしかに、最近はネット販売をしている企業が非常に多い。

その代表格といえば、やはりアマゾン(Amzon)だろう。

恐らく、ほとんどの人が一度くらいは利用したことがあるはずだ。

もちろん、私もその中の一人である。

豊富な品揃いに加えて、商品の値段も安く、店に出向かずともクリック一つで家に届けてくれる。

改めて考えてみると、本当に便利なサービスだと思う。

しかし、その「便利さ」が、宅配ドライバーのを生んでいることに、多くの人は気づいていない。

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ヤマト運輸の内部事情

今から数年前、私はヤマト運輸で仕分けのアルバイトをしていた。

なので、ヤマト運輸の内部事情には多少精通している。

その中で、特に私が驚いたことが、配達物のアマゾンの比率の高さだ。

その量は、仕分けをする荷物の半分がアマゾンで占めれている、と感じるほど多かった。

仕分けをする段階でこうなのだから、配達するドライバーはもっとそう感じているはずだ。

ただ、仕分けとドライバーでは決定的な違いがある。

それは、仕分けは荷物を車に積んで終わりなのに対して、ドライバーは荷物をお客に届けるまで終わらないことだ。

この「届ける」という作業が想像以上に大変なのである。

配達事情を知らない人のために説明しおくと、宅急便の車に積まれている荷物は、配達する順番に積まれているのだ。

先に回る経路の荷物は手前に置かれ、後から回る家の荷物ほど奥に置かれている。

荷物はボックスに限界まで積むため、まだ一つも荷物を届けていない状態では、まさにテトリスのゲームーオーバー画面のようだ。

そんな状態だから、ドライバーが荷物をボックスから取り出す時はかなりの神経を使う。

順番通りに配達できればいいのだが、当然ながら留守の家もあるため、なかなか思うように荷物は減っていかない。

届けられなかった荷物は、後から再び配達することになるのだが、密集された山からもう一度同じ荷物を探し出すのは至難の業だ。

これに加えて、ヤマト運輸では時間指定というサービスがある。

このことが、ドライバーの負担をさらに大きくしている。

配達ドライバーとは、要領の良さ効率性が求められる、本当に大変な仕事だ。

私のような手際の悪い人間には、とてもじゃないができる気がしない……。

このように、客の立場からすれば便利なサービスも、労働者側にとっては過酷なことでしかない場合が多い。

よって、配達現場を間近で見てきた私からすると、今回のヤマト運輸の値上げは、「多少ならば仕方ないかもしれない」と思っている。

少なくとも、「時間指定」に関しては有料制にして良いのではないだろうか。

現状でも、サービスが無料だからこそ利用しているだけであって、そうでなければ必要ないと思っている層が多い気がするのだ。

大半の利用者は、有料になっても特に困らないはずである。

それならば、いっそ最初から有料制にしてしまえば、利用者を本当に必要な人のみに限定できる。

ドライバー不足の問題も、この時間指定による労力を抑えれば、かなりの割合が解消できると思っている。

値上げは本当に必要なのかを見定める

過度のサービス提供は、やがて自分の首を絞めることに繋がる。

今回のヤマト運輸の問題は、まさにこのことが当てはまる事例だ。

以上のことからも、私は基本的にはヤマト運輸の値上げには賛成である。

ただし、その値上げがドライバーの労働改善に繋がらないのなら話は別だ。

値上げするからには、当然、その値上げ分は現場で働いている者に還元されるべきである。

単純にドライバーの給料を上げることでもいいし、人手不足ならば、人員を増大することに充ててもいいだろう。

しかし、そうではなく、企業の内部保留役員の給料のみに反映されるようならば、値上げすることには大いに反対である。

近年では、値上げした分を労働者に反映させない企業が本当に多くなってきている。

もっとひどい場合は、問題点をダシにして、ここぞとばかりに便乗値上げすることだ。

ヤマトに限っては、それはないと思うが……。

そうならないためにも、私達消費者が、値上げは本当に必要なのかを見定めていかなければならない。

今後のヤマト運輸の動向に注目したい。

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