本は読んだ方がいい、本はためになる。
今まで生きてきた中で、あなたもこのような言葉を聞いたことがあるはずだ。
しかし、何故本を読んだ方がいいのか。
その理由を、具体的に教えてくれる人はあまりいない。
かくいう私自身も、最近まではその理由を明確にはわからなかった。
だが、ふとしたきっかけで、ようやくその答えを見つけることができた。
今回はそんな私なりの持論を説いていく。
人の考えをクリアに知ることができる
本の凄いところは、その人の考えを文字として読むことができることだ。
もし本がなければ、その人の考えは、直接「言葉」として聞く以外に方法はない。
これには、相手の表情・口調・雰囲気・テンションなど、話し手の表現力に大きく依存する。
講演会を開くような話のうまい人なら問題ないが、中には、うまく自分を表現できない口下手な人もいるだろう。
どんなに素晴らしい考えを持っていても、それが相手に伝わらなければ意味はない。
だが文字で表せば、それらの要素は全て排除され、純粋にその人の考えだけに焦点を当てることができるのだ。
さらに、文字で表すことにはもう一つ大きなメリットがある。
文字に書き写すことで、話し手自身も、自分の考えをより整理することができるからだ。
本とは「話し手」「聞き手」の両者共に、非常にメリットの大きい媒体といえる。
会えない人の考えを知ることができる
自分の行動範囲には限界がある。
どんなに行動的な人でも、生きている間に会える人数には限りがある。
自分が尊敬している著名人の話を聞きたくても、会うことができなければそれは不可能だ。
だが本があれば、直接会わなくてもその人の考えを知ることができる。
これは生きている人に限らず、すでに亡くなっている偉大な著名人でさえ、本を開けばすぐそこに存在しているのだ。
本の凄いところはこれだけではない。
言語の障壁さえも取り払うことができるのだ。
偉大な著名人の本は、すでに翻訳されていることが多いため、あなたは世界各地を訪れる必要もなく、最小限の労力で著名人の考えを知ることができる。
そう考えれば、これほど手軽に新しい世界に触れられるものは、他に存在しないのではないだろうか。
本の中での価値観は変わらない
最後の項目になるが、実は今回私が最も伝えたかったことはこれだ。
それは、人の価値観は変わってしまうということ。
人の心は日々変化していく。
どんなに素晴らしい考えを持っていても、残念ながら、生涯その考えを維持できる人は少ない。
生きていく中で、新しい情報や体験を通して考えが変わること、または先が短くなるにつれ、野心的だった心が保守的になることは決して少なくない。
人間なのだから、それは仕方のないことかもしれない……。
だが、やはり一度でもその人物に憧れを持った者としては、その心の変化は受け入れ難い。
そのことを私は身をもって実感した。
私には、過去にとても感銘を受けた著名人がいた。
彼の本を初めて読んだ時の衝撃は、今でもハッキリと覚えている。
彼のような人間になりたい、彼を生涯称えよう。
その本は、私にそう思わせる程の影響力だった。
だが数年後、テレビに映る彼の姿は、まるで別人だった……。
私が尊敬していた彼の姿はどこにもなく、それどころか、本で書かれていた本人が最も毛嫌いする行動を取っていたのだ。
その光景を見た私は、まるで裏切られたかのようにショックを受けた……。
あの本に書かれていたことは嘘だったのか……私は騙されていたのか。
私はしばらく悩んだ……。
だが、その時ふと気づいたのだ。
「本の中の彼」と「今の彼」はもはや別人なのだと。
彼に何があったのかはわからないが、何かのきっかけで、彼の価値観が変わってしまったのは間違いない。
だが、だからといって、あの本に書かれていたことは嘘にはならない。
例え本人の価値観が変わったとしても、あの時の彼は、未来永劫本の中で生き続ける。
私が尊敬した彼の価値観は、永遠にその本の中に留めておくことができるのだ。
これに気づいた時、私は本という物を心から素晴らしいと思った。
かくいう私自身、もしかしたらこの先、価値観が変わってしまうかもしれない……。
だが、このブログに書いてきた私の価値観は生涯変わることはない。
もし、あなたが私の考えに共感してくれるなら、その時は再度このブログを読み返して欲しい。
このブログの私は絶対に裏切らないから。