独身税に反対!独身税を作ってはいけない理由

巷で「独身税」が話題を呼んでいる。

独身税とは名前の通り、独身者に対して課せられる税のことだ。

話題になったきっかけは、石川県『かほく市ママ課』と財務省主計官の意見交換会にて、ママ課メンバーから「結婚し子を育てると生活水準が下がる。独身者に負担をお願いできないか」という意見が出されたこと。

そのことが北國新聞に取り上げられると、瞬く間にネット上で広がり、あっという間に炎上した。

念のために補足しておくが、これはアクマで意見の一つとして出されただけであり、「独身税」が決定されたわけではない。

実際、主計官もこの意見に対して「確かに独身税の議論はあるが、進んでいない」と答えている。

にも関わらず、これだけ炎上するということは、世間がいかに「独身税」に対して良いイメージを持っていないかを意味している。

そこで今回は、この「独身税」について、私の意見を述べることにする。

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独身税に反対する理由

結論から先に言うと、私は独身税に反対である。

なぜなら、この法案は「独身者」に負い目を感じさせる可能性があるからだ。

独身というだけで税金を取られる、これは真意は別にしても「独身」という立場が優遇されている、という意味を含んでいる。

恐らく、この意見を出した者は「お金に余裕のある独身者」を対象として言ったのだろう。

たしかに、世の中にはお金に余裕があっても独身を貫いている人がいる。

そういう人が既婚者よりも金銭的に余裕がある、ということは間違ってはいないだろう。

しかし、それはやはり少数派だ。

特に、20~30歳の独身者に限っていえば、そんな人は一割もいないだろう。

現に、専門家は若者が結婚しない理由の一つとして、経済的理由を挙げている。

今の20~30代は自分一人で生きていくのに精一杯で、とても結婚どころではないのだ。

その現状に加えて、さらに独身税を課すというのは、あまりにも酷な話である。

結婚にお金が掛かるのは当然だが、結婚するまでの「交際」にもお金は掛かるのだから。

これでは、「お金に余裕のない独身者」はますます結婚から遠ざかってしまう。

さらに言えば、前述した「お金に余裕のある独身者」の中には、自分の意思に反して独身でいる人も含まれていることを忘れてはいけない。

結婚できない理由は、経済的な問題だけとは限らないのだから。

現在、世間で「婚活」という言葉が流行しているように、パートナーを見つけようと努力していても相手が見つからない、ということは十分にありえるのだ。

そういう人達にとっては、「独身税」はお金を取られる以上に、精神的苦痛が高いものとなるだろう。

世間から「独身者は悪だ」と責められているような気分になるからだ。

たかが「独身」というだけで、そのような偏見イメージを植え付けることは絶対にあってはならない。

そういった側面を考えても、やはり独身税は作るべきではないのだ。

さらに、独身税には他にも不安材料がある。

それは、独身税につけ込んだ悪徳業者が現れることだ。

世の中には、新しい法律の「抜け穴」を利用して、ビジネスを展開しようと企む者がいる。

今回の独身税でいえば、偽装結婚がそれに当たるだろう。

「独身税を払いたくない。でも結婚もしたくない」

そういった人の悩みにつけ込み、「年間50万円で結婚契約します」というフレーズでおびき寄せ、複数の独身者から違法にお金を巻き上げるのだ。

独身税が作られれば、このような業者が大量に出現してもおかしくない。

厄介なのは、この商売が「お金に余裕のある独身者」を対象としている点だ。

「お金に余裕のない独身者」は、利用したくても資金がないのだから当然だろう。

つまり、結局のところ、独身税によって税金の負担が増すのは「お金に余裕のない独身者」だけなのである。

本来は「お金に余裕のある独身者」を対象として作られたはずだが、こうなってしまっては本末転倒だ。

独身税に賛成する既婚者の心理

そもそも、私が疑問に思うのは、なぜ既婚者達は独身者に「負担させる」方向に話を持っていくのだろうか。

「結婚して生活水準が厳しくなった」というならば、単純に既婚者への社会保障を増やす方向で意見を出せば良いではないか。

一つの例を挙げれば、控除額を高くする、などだ。

これならば、本来の目的である「既婚者の負担を減らす」ということも達成できるし、なにより結婚することへのメリットも増やせる。

それによって、もしかしたら「お金に余裕のある独身者」の結婚意欲を沸かせることもできるかもしれない。

しかし、そうしないのは何故なのか……。

それは、この意見の「本質」が独身者に対する私怨からきているからだろう。

「自分達は結婚して子供も作っている。だから社会貢献していない独身者よりも優遇されるべきだ」

私には、このような想いが込められている気がしてならないのだ。

そうだとすれば、独身税は単に「既婚者は独身者よりも立場が上である」ことを示す判断材料にしかならない。

それにより、両者はお互いに敵視し合うことになるだろう。

これでは、独身者を苦しめるどころか、本来恩恵を受けるはずだった既婚者も幸せにすることはできない。

そもそも、結婚とは社会のためにするものなのだろうか。

いや、決してそんなことはない。

「この人と生涯を共に歩んでいきたい」

お互いがそう願ったからこそ結婚したはずである。

しかし、ネットにいる「独身税賛成派」の人達からは、そのような気持ちが全く感じられず、結婚生活に嫌気が差しているとしか思えないほど心に余裕がない。

だからこそ、独身者に税金を課せることで、「自分は幸せ(マシ)なんだ」と言い聞かせようとしているのではないだろうか。

そうであるならば、その考えは間違っている。

そんなことをしなくても、「自分の隣に最愛のパートナーがいる」ことは、それだけで十分に幸せなことなのだから。

結婚の幸せとは何なのか。

もう一度、そのことをじっくりと考えて欲しい。

間違っても、独身者と既婚者の対立を煽るような「独身税」を作ってはいけない。

私達は両者が共に幸せになれる道を探るべきだ。

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