恋人(彼氏・彼女)ができない。
この悩みは、人の本能に直結する悩みだ。
人間には異性を求める異性欲があり、それを満たせないことは非常に辛いことである。
私も、過去にこのことで非常に悩み苦しんだ。
時には恋人ができないことに絶望し、早く作らなければならないと焦り、恋人がいる人を見てはひどく妬んでいた。
しかし、ある時、この悩みの本質を知ることになる。
それを知ってからは大分その気持ちが和らいだ。
今回は、恋人ができない悩みを持つ人へ、その理由とこの悩みを解決するための考え方を伝えたい。
あなたに恋人ができない理由
恋人ができないと悩む人は、その理由を必死に考える。
自分には何が足りないのか、何を改善すればいいのか。
そうして多くの人が行き着く結論は、ファッションの改善や性格の改善など、自分磨きをすることだ。
しかし、これを読んでいるあなたならわかると思うが、そんなことをしても恋人はできないのだ。
むしろ、原因が自分にあると思い込むことで、自分には価値がないとますます自己嫌悪に陥ってしまう。
どれも過去の私が通ってきた道だ。
しかし、ある時ふと気づいたのだ。
恋人を作るためには、そんなに努力は必要なのだろうかと。
そう思ったのも、私が過去に出会ってきた「恋人がいる人」が努力とは無縁そうだったからである。
きっと、あなたの周りにも一人はいるはずだ。
なんでこんな人に恋人がいるのだろう、と思わず疑問視してしまう人が。
もちろん、その人にはその人なりの魅力があるのだろうし、もしかしたら陰で恋人を作るために努力していたのかもしれない。
しかし、仮にそうだとしても、それに反して「明らかに魅力的だと思う人」に恋人がいないことは多々ある。
前述した「疑問視する人」よりも、どう見ても魅力があるのに……これは一体なぜなのだろうか。
実は、その理由こそが、あなたに恋人ができない理由でもあるのだ。
それは、恋人ができるかどうかは「縁」だからである。
あなたもこんな言葉を聞いたことがあるだろう。
人の出会いは縁によるものである。
現在、あなたの周りにいる人達も、あなたとは縁があったからこそ出会えたのだ。
つまり逆に言えば、この縁がなければ、どんなに自分磨きをしたところで恋人はできないのである。
思い返せば、そのことは私が身をもって経験していた。
次項では、その一例として、そんな縁にまつわる私の恋愛体験談を語る。
縁にまつわる私の恋愛体験談
冒頭では、私は過去に恋人ができないことで悩んでいたことがあると書いたが、それはここ数年の話である。
それまでの私には、そのような欲求は一切なかった。
というのも、私が恋人を作れる段階ではなかったからだ。
実は、過去の私は酷いコミュ障だった。
その度合いは、コミュ障という言葉では済まされないほどに重症なものだ。
女性と会話するのはおろか、挨拶をされても返せないほどだった。
もはや、その症状は異性恐怖症と言ってもいいだろう。
そんな状態だから、過去の私にとって女性とは害敵でしかなかった。
そんな私に変化が訪れたのは27歳の時だ。
やはり、30歳も間近になってくると、「自分はこのままでいいのだろうか」という思いが強くなってくる。
女性の前で平常心でいられないことがずっとコンプレックスだったし、どうにかしてそれを払拭したかったこともあり、私は動き出すことにしたのだ。
もちろん、目的は彼女を作るという高度なものではなく、アクマで私の異性恐怖症を治すためにだ。
しかし、異性恐怖症の人間がいきなり女性と会話するのはあまりにも敷居が高い。
そこで、まずはネットで話し相手を募集している場所に行き、チャットという形で話すことにした。
いくらチャットとはいえ、相手は生身の女性であり、当時の私にはそれだけでも勇気のいるものだった。
ただ、幸いにも文字で会話することは思ってたよりも手軽だったこともあり、すぐに慣れ、次第に会話も盛り上がれるようになっていった。
そんなある日のこと、私は運命とも呼べる女性に出会う。
その女性の名は麻実ちゃん(仮名)。
当時は大学四年生で、丁度就活が終わって一段落した時期だった。
麻実ちゃんは、とても優しい女性だった。
私が異性恐怖症だということを打ち明けても、そのことを全く気にせずフォローしてくれたのだ。
私と考え方の価値観も似ていたため、今までの女性とは比べ物にならないくらい早いスピードで打ち解けることができた。
そうして話しているうちに、私の中に「まみちゃんと直接話してみたい」という欲求が沸き上がってきたのだ。
私が恐る恐る通話を打診すると、まみちゃんは心良くそのことを承諾してくれた。
私にとっては、これが人生で初めて女性とまともに会話する機会だった。
通話ボタンを押し、麻美ちゃんに繋がるまでの間、私の鼓動はずっとバクバクと音を立てていた。
まるで今にも破裂しそうな勢いだ。
そうして、ついに麻美ちゃんに繋がる。
「はい、もしもし」
麻美ちゃんの第一声を聞いた瞬間、私の全身からスッと力が抜けた。
まるで天使の声のように、彼女の声は可愛らしかった。
麻美ちゃんの声にすっかり気分を良くした私は、チャットと同じように彼女に話しかける。
正直なところ、ロクに話すこともできないだろうと懸念していたのだが、気づけば、自分でも驚くくらいに自然に会話ができていた。
きっと、彼女とは相性が良かったのだろう。
彼女と話す時間はとても心地良かった。
私は、この時初めて異性と話す楽しさを知ることになる。
その日から、麻美ちゃんとは毎日のように通話する関係になった。
気づけば麻美ちゃんのことばかりを考え、自分の生活は麻実ちゃんを中心に回っているような感覚だった。
今思い返せば、すでにこの時には麻美ちゃんに恋愛感情を抱いていたのだろう。
そうして麻実ちゃんと話すにつれ、次第に私の心にある感情が芽生え始めた。
『麻美ちゃんに会ってみたい』
想いが募った私は、翌日、勇気を持って麻美ちゃんに直接会うことを打診する。
しかし、私の期待とは裏腹に麻美ちゃんはこれを拒否したのだ。
ネットで知り合った人と直接会うのは恐いから、という理由だった。
私はショックだった……。
せっかくここまで仲良くなれたのに、麻美ちゃんとは二度と会うことができないなんて……。
その日の夜は、悲しみで一人涙を流した。
だが、それでも諦めきれなかった私は、その後も二か月間毎日のように麻美ちゃんと通話し続けた。
時には麻実ちゃんの都合で通話できない日もあり、その時はこの世の終わりというほどに絶望感に苛まされたこともある。
そのような日々を送るにつれ、徐々に麻実ちゃんは私への警戒心を解いてくれた。
そうして、ついに麻美ちゃんは会うことを承諾してくれたのだ。
初めて麻実ちゃんと会ったのは桜が咲き始めた頃だった。
すでに通話で色々とお互いのことを話していたこともあり、一度会ってしまえば二人の距離が縮まるのは早かった。
こうして私は麻美ちゃんと深い関係になることができた。
その後、麻実ちゃんとは一年くらい共に過ごしただろうか。
麻実ちゃんが就職してからは、仕事の忙しさからなかなか都合が合わずに疎遠になってしまったが、あの頃の経験は今でも私の糧となっている。
以上が私の初めての恋愛体験談だ。
この話からもわかってもらえたように、恋人ができるかどうかは縁が非常に重要なのである。
人によっては「麻実ちゃんとの件は私が行動した努力の賜物だ」と言ってくれる人がいるかもしれない。
たしかに、麻実ちゃんと出会えたのはあの時私が勇気を持って行動した結果である。
しかし、行動すれば必ず恋人ができるなんてことはありえない。
現に、麻実ちゃんとの件以来、私の恋愛事情はサッパリである。
麻実ちゃんと出会ってから、私は劇的に変化した。
ファッションの改善、眉毛の手入れ、ダイエット、あらゆる自分磨きをし、その後も積極的に出会いの場所に出向いた。
その甲斐あって、初対面の人からは男女問わず「モテそう」「さわやか」など、好印象なことを言われるようになった。
今では、元々は異性恐怖症だったとういうことを話しても誰も信じてはくれない。
しかし、それでも肝心の恋人はできないのだ。
幾度となく出会った女性にアプローチをかけてきたが、見事に振られてばかりである。
もし、努力や魅力の度合いに比例して恋人ができるのだとしたら、私はとっくに恋人ができていてもおかしくないはずだ。
やはり、あれは麻実ちゃんだったからこそ恋に発展したのだろう。
私と麻実ちゃんは縁で繋がっていたのだ。
恋人ができるかどうかは、縁は何よりも重要な要素である。
自分を卑下しない大切さ
前項では、恋人を作るためには縁が大事だと話した。
しかし、これを言うと、「そんな身も蓋もないことを言うな」と怒る人もいるだろう。
今まで自分が恋人を作るためにしてきた努力は無駄なのか、きっとそう思うはずだ。
だが、そんなことはない。
誤解しないで欲しいが、恋人を作るために自分磨きをすることは決して悪いことではない。
恋人を作るために努力し、自分を高めようとする行為は素晴らしいことである。
もちろん、それによって恋人ができる確率が上がることも間違いないだろう。
しかし、ここで知って欲しいのは、それはアクマで恋人ができる可能性が上がるだけであり、本当に恋人ができるかどうかは別問題であるということだ。
私が何故、ここまで縁の重要性を説いているのかといえば、それはあなたに自分を卑下してもらいたくないからだ。
世の中の恋愛サイトを見ると、「恋人を作るのは簡単」「恋人ができないのは行動していないだけ」など、あたかも原因が本人にあるような言い方をしているサイトが多い。
だが冷静に考えれば、恋愛とは相手ありきの物であり、自分ではどうすることもできない問題など山ほどあるのだ。
にも関わらず、そのようなことを真に受けてしまえば、自分には魅力がないという間違った認識をしてしまう。
【自分に自信がない人が確実に「自信」をつける方法】でも話したが、自分に自信を持てなくなることは、恋愛において重大な損失である。
そうなってしまっては、せっかく持っているあなたの魅力は台無しだ。
私は声を大にしてあなたに伝えたい。
あなたに恋人ができないことと、あなたの魅力は全く関係ない。
どんなに魅力がある人でも縁がなければ恋人はできないし、逆に「何でこの人が?」と思う人でも縁さえあれば恋人はできるものだ。
きっと、あなたはすでに恋人を作るために十分頑張ってきたはずだ。
それでも恋人ができないのなら、それは今はそういう縁なのだと割り切った方がいい。
あなたには恋愛以外にやるべきことがあるはずだから。
今は恋愛よりもそのことに集中する時期なのである。
だから自分を卑下せずに、もっと堂々と今の「恋人がいない自分」を受け入れて欲しい。
卑屈になっていては、せっかく運命の相手に出会えたとしても、あなたの魅力は伝わらないのだから。
どうか、そのことを心に留め、毎日を楽しく過ごすことを考えてもらいたい。
恋人ができない悩みの考え方
私が思うに、恋人ができないことで悩む人は、恋人を作ることに執着しすぎている。
たしかに恋人ができれば生活にハリができるし、幸せな気分も味わえるだろう。
それを味わえない辛さは私も十分理解している。
特に、周りの者が恋人がいる人ばかりなら、尚更恋人ができない自分を惨めに思ってしまうかもしれない。
しかし、恋愛とは楽しいことばかりではない、ということも忘れてはならない。
うまくいってる時はこれ以上ないほど幸せを感じるが、逆にそうでない時は物凄く辛い思いをする羽目になる。
そんな時、恋愛が何よりの優先事項になっている人は、【恋愛依存(片思い)の恐怖と克服方法】で話したように、人生そのものが絶望に染まってしまう。
そうではなく、人生には他にも大事なことはたくさんある、ということを忘れないで欲しい。
恋愛は人生を豊かにするための一つに過ぎないのだから。
恋人ができないと悩む人は、そのことを心に留め、恋愛以外で打ち込める物を探すべきだ。
そうすれば、自ずとあなたの魅力は輝きを増し、「縁」によって運命の相手と惹かれ合うだろう。
一見して遠回りなように思えても、それが恋人を作るための最短な道である。
私自身も、今恋人ができないのは「恋愛よりも優先しなければいけないことがある」という運命の啓示だと思っている。
どうか、あなたも恋人ができないことを重大な問題だと思わないで欲しい。
大丈夫、きっとあなたにもいずれ縁が訪れるから。
その時までは焦らずに、充実した日々を過ごしてもらいたい。
あなたに良い縁が訪れることを、私は切に願っている。