お金持ちになりたい。
この願いは世界共通の願いだろう。
お金持ちになるためには、当たり前だが「お金」を多く手に入れる必要がある。
そのためには「仕事を頑張る」「株で儲ける」「資産を受け継ぐ」など、方法は様々だ。
しかし、実際にお金持ちになれた人は、世の中にどれくらいいるだろうか。
恐らく、本当の意味でお金持ちになれた人は5%にも満たないはずだ。
もちろん、単純に「お金を持っている人」ならもっといるかもしれない。
だが「本当のお金持ち」になるためには、ただお金をたくさん持っていればいいわけではないのである。
今回私が話すことは、そんな「本当のお金持ち」になるために、最も大切なことである。
お金持ちになりたいと願う人は、是非一読してほしい。
「本当のお金持ち」と「お金を持っている人」の違い
多くの人が誤解していることは、お金持ちは皆「満たされている」と思っていることだ。
お金持ちはたくさんお金を持っているのだから、将来の不安は何もないはず。
恐らく、このように思っているだろう。
だが、それは大きな間違いだ。
たしかにお金があれば物欲は満たせるし、明日の生活に困る事はない。
しかし、それはアクマで表面上のことであり、内心でお金の恐怖を消せているかは別問題である。
実は、冒頭で話した「本当のお金持ち」かどうかは、このお金への執着が鍵となる。
あなたの周りにも「お金は持ってるけどケチな人」はいないだろうか。
彼等はどんなにお金を所有していても、その内面では常に不安にとらわれている。
「お金は使えばなくなってしまう」
お金を使おうとすると、この思考が脳裏によぎり、お金を使う(手放す)ことを極度に恐れるのである。
その原因となる背景には、彼等の幼少期が関係している。
このような人達は、幼少期にお金に苦労していた、というパターンが非常に多い。
いわゆる「貧乏な家庭」に生まれたということだ。
お金に苦労する環境で育てば、当然、お金に対する見方も変わってくる。
贅沢は敵、節約こそ最高の行いだ。
親から何度も教え込まれた価値観が、彼等の「お金に対する価値」を必要以上に高めているのである。
しかし、これが逆に「裕福な家庭」に生まれた場合はどうなるか。
子供の頃から欲しい物は何でも買い与えられ、お金には一度も苦労したことがない、という人だ。
このタイプは、大人になってもお金を使うことに全く抵抗がない。
どんなに高価な物だろうが、自分が欲しいと思ったら即座に購入することができる。
この比較からもわかるように、同じお金持ちでも「お金を持っている人」と「本物のお金持ち」では、お金に対する免疫が全く違うのである。
どんなにお金を持っていても、それが使えないのならば、お金を持っていないのと同じことである。
「本当のお金持ち」になりたいと願う人は、まずはこのことを頭に入れてもらいたい。
「本当のお金持ち」になるためには
前項では「本当のお金持ち」の定義を紹介した。
では、どのようにしたら「本当のお金持ち」になれるのか。
それにはまず、物の価値を「お金」で図らないことが重要だ。
多くの人は、欲しい物の値段を見て、それが高価だとわかると買うのをためらい、安い物を見ると安心してしまう。
生まれながらにお金持ちでない限り、これが普通の感覚だろう。
しかし、この感覚こそが「本当のお金持ち」になることを妨げる大きな要因となる。
お金というのは不思議なもので、お金を使わない人の元からは離れていくのである。
その場では節約できたとしても、結局は違う機会で払うことになり、最終的にはお金は逃げて行く。
節約に命を掛けている人は「そんなバカなことあるわけないだろ!」と思わず反論したくなるだろう。
その気持ちはよくわかる。
私自身も、昔はお金持ちになるためにはお金を「保守」することが一番の近道だと思っていた。
しかし、身近に「お金を保守しているにも関わらず、お金持ちになっていない人」がいることに気づき、その考えが変わったのだ。
それは私の祖母の話だ。
最近になって打ち明けられたのだが、なんと祖母は宝くじで1000万円も当選していたのだ。
今から30年以上前の話だが、当時の1000万円といえば、今の1億円と同じくらいの当選確率である。
あれだけ無駄遣いを嫌う祖母が、やたら宝くじだけは肯定的だったのは、これが理由だったのだ。
普通なら、それだけの大金が入れば老後はかなり楽になるだろう。
しかし、祖母の現在といえば、年金だけを頼りにした質素な生活だ。
当選した1000万円は、ほとんど手元にないという。
その理由は【お金の貸し借りには相当な覚悟が必要】で話したように、親戚にお金を貸した(あげた)ためである。
人によっては、私の祖母のことを「お人好し」だと思うかもしれない。
もちろん、それもあるだろう。
祖母は変なところで義理堅い人間だから。
しかし、普段の祖母は、本当に守銭奴な人間だ。
その過剰さは、パンにカビが生えていても決して捨てようとしないほどである。
テレビで外食店の値段が表示されれば、その都度「高い」と声を荒げ、いつもお金にとらわれている。
そんな守銭奴な人間にも関わらず、お金持ちになるどころか、大金を失うことになっているのだ。
その原因も、突き詰めれば祖母が「お金の恐怖」にとらわれているためである。
祖母のように「お金に支配」されている人間は、仮に大金を手に入れたとしても、最終的にはお金は手元から逃げて行くのだ。
これがお金の性質である。
「金は天下の回り物」ということわざがあるように、お金は回されることを好むのである。
だからこそ、お金を回さない(使わない)人からは自ら逃げて行くのだ。
それを回避するためには、お金を回せる人間にならなければならない。
それは言い換えれば、「お金の恐怖」に支配されない、ということだ。
お金を使う時は、自分の気持ちに素直に従うことが重要である。
例えば外食する時は、コスパの高いメニューよりも、自分が本当に食べたい物を選ぶ。
物を買う時も、値段を見ずに自分が本当に欲しいと思った物を買うようにする。
このような行いが「本当のお金持ち」になるための土台を作っていくのである。
もちろん、自分の限界以上にお金を使う必要はない。
時には節約することも大事だろう。
しかし、常にお金を使うことに抵抗を抱いていては、いざ大金を手に入れても、その恩恵を受け取ることができないのだ。
それでは一向に「本当のお金持ち」になることはできない。
「本当のお金持ち」になるための一番の近道は、「お金の恐怖」から解放されることである。
「本当のお金持ち」のお金に対する考え方
ここまで「本当のお金持ちの定義」と「本当のお金持ちになるために必要なこと」を話してきた。
最後の項目では、「本当のお金持ち」になるうえで、最も大切な「お金」に対する考え方を話したい。
この考え方こそが「本当のお金持ち」の本質といってもいいだろう。
その答えは、お金は幸せになるための手段でしかない、ということだ。
多くの人はお金を得ることばかりに執着しているが、本当に大事なことは、そのお金をどう使うかである。
幸せになるために得たはずのお金も、それを貯めることが目的になっていては本末転倒である。
我が国では、老後のためにお金を貯めることが美徳とされている節がある。
しかし、この考え方には重大なことが失念されている。
それは、お金はあの世には持って行けない、ということだ。
多くの人は何の疑いもなく老後まで生きられると考えているが、そんな保証はどこにもない。
極論をいえば、あなたは明日にもこの世を去ることになるかもしれないのだから。
その最期を迎える時に「もっとお金を使って楽しめば良かった」と思ったのでは遅いのである。
もちろん、だからと言って散財しろというわけではない。
将来を見据えてお金を貯金することも、時には必要だろう。
しかし、今の「幸せ」を放棄してまでお金を貯め込むことは、「本当のお金持ち」とは程遠い考え方だ。
「本当のお金持ち」なら決してそんなことはしない。
「本当のお金持ち」は、お金を使って幸せになれると思ったことには迷わずお金を使う。
それに反して、世の中の多くの人は「お金を貯めること」に幸せを感じ過ぎている。
一体なぜなのだろうか……。
その理由は「お金は簡単には入ってこない」と思っているからだ。
だからこそ、僧侶のように自分の欲望を打ち消して、懸命に貯金するのである。
しかし、その行動は、本人の意思に反して結果的にお金を遠ざけることになってしまう。
前項でも話したが、お金は回されることを好むからだ。
「本当のお金持ち」はそのことを無意識に理解しているので、自分が幸せだと感じることには惜しみなくお金を使う。
皮肉なことに、それがさらにお金を呼び寄せることに繋がるのだ。
お金を使う人にはお金が集まり、お金を貯めようとする人からは逃げて行く。
お金とは、本当に難儀な性質である。
だが、私はこれでいいと思っている。
お金持ちは「お金」を使うことこそが使命だと思っているからだ。
「お金は持っているけどお金は使わない人」
こんな人ばかりが増えれば、国の経済が衰退していくのは当然だ。
昔に比べて、近年の日本が低迷している理由も、このことが大きく影響していると私は思っている。
興味深いのは、それに反比例するように「オレオレ詐欺」が急増していることだ。
犯罪ではあるが、あれもマクロ的な視点で見れば「お金を回す」ということに繋がっているのだ。
もしかしたら、これも「回されたい」と望む「お金の性質」からくる現象なのかもしれない。
誤解しないでもらいたいが、決してオレオレ詐欺を肯定しているわけではない。
身内を心配する気持ちを悪用したオレオレ詐欺は、絶対に許してはいけないことだ。
ただ、私が残念に思うことは、オレオレ詐欺の被害に合った人は、何もなければ「お金を使うことはなかった」と予想できることだ。
すぐに大金を用意できるということは、それだけ眠っているお金があるということ。
本当にお金がなければ、渡したくても渡せないのだから。
オレオレ詐欺が多発するのも、やはり「ただお金を持っているだけの人」が多いという証拠だろう。
それはつまり、まだまだ日本には「本当のお金持ち」は少ない、ということを意味する。
これは本当に悲しいことだ。
ただお金を持っているだけでは、「幸せ」は一向に広がっていかないのだから。
もし、あなたが将来お金持ちになった時は、絶対に「ただお金を持っている人」にはならないで欲しい。
お金は貯金する物ではなく回す物である。
どうかこの認識を忘れずに、お金を回せる「本当のお金持ち」になってもらいたい。
そうして一人でも多くの人がお金の恐怖から解放されることを、私は願っている。