何をやっても続かない。
世の中には、そのことに悩む人が数多く存在する。
夢や目標など、自分に関することならまだいいが、それが仕事や課題などの「やらなければいけないこと」なら大変である。
私も基本的に持続力がない人間であり、続けられない人の気持ちはよくわかる。
過去には、続けられないことで色々と苦労もしてきた。
しかし、自分なりに試行錯誤した結果、続けらないことには原因があることがわかった。
それを意識してからは、今までより大分続けられるようになった。
そこで今回は、物事を続けられないと悩む人に向け、続けられない原因を解明し、続けるためのコツを伝授したい。
完璧を目指さない
続けられない人にはある共通点がある。
この共通点があるがために、物事がなかなか続かないのだ。
その共通点とは、完璧を目指すことである。
これは私自身にも言えることなのだが、続けられない人の多くは完璧主義者であることが多い。
よって、最初から全てを完璧にこなそうとする。
仕事は最初から完璧にこなさなければ駄目だと思い込んでいるし、課題なら自分の納得がいくまでやり込まなければ気が済まない。
一見していいことのように思えるが、この心理は「継続して行う」ためには物凄い弊害となる。
当たり前のことだが、最初から何でも完璧にこなせる人などそうはいない。
そんなことができるのは【天才は自分が天才であることを認めるべき】でも話したように、天才だけである。
しかし、完璧主義者にはその事実が認められないのだ。
最初から完璧にこなすことを「当たり前だ」と思い込んでいるため、できない自分を叱咤し続ける。
それでは【自分に自信がない人が確実に「自信」をつける方法】でも話したように、自信を失うことに繋がってしまう。
完璧を目指すということは、それだけ心理的負担が大きいのだから。
ある程度のレベルになれば、その後はスムーズに行えるようになるが、イロハも知らない初心者のうちから完璧を目指すなど無理な話だ。
そうではなく、続けるためには自分の目標値を下げることが大切である。
具体的に言えば、自分の中での8割を目指せばいい。
最初はこれだけでも十分である。
恐らく、8割を目指したところで、実際にできるのは4割~6割ほどになるだろう。
だが、そのことで落ち込む必要はない。
人が物事を上達するためには、最低でも1000時間は必要だと言われている。
つまり、新しいことを「モノにする」までには、どうやってもある程度の時間が掛かるのだ。
完璧を目指して「続かない」くらいなら、目標値を下げてても「続ける」方が自分の将来のタメになる。
物事が続かないと悩む人は、まずはこのことを頭に入れておいてもらいたい。
やる気の仕組みを理解する
世の中には、続けられない原因を自分の「やる気」のせいだと思っている人が非常に多い。
「やる気が起きないから続かない」
「やる気が湧いてから動き始めればいい」
そういった人達の思考パターンは、決まってこのようなものだ。
だが、その考えは間違いである。
そのことを理解してもらうためにも、まずは人間の脳の仕組みを説明したい。
実は、私達が俗に言う「やる気」とは、脳から放出される「ドーパミン」のことを指しているのだ。
脳に詳しくない人でも、一度くらいはこの言葉を聞いたことがあるだろう。
ドーパミンとは、学習意欲や集中力を高めるなど、人間が行動するための動機づけを起こす神経伝達物質である。
簡単に言えば「やる気の源」だ。
つまり、このドーパミンを出せれば、自然と行動するためのやる気は湧いてくるのだ。
そのために必要なことが、脳の側坐核(そくざかく)という部分を刺激すること。
ドーパミンは側坐核が刺激されることによって、どんどん放出されていく。
そして、その側坐核を刺激するために必要なことが「作業をする」ことである。
具体的に言えば、手足を動かしたり、頭を使ったりなど、脳を刺激する行動のことだ。
そうすることで、側坐核からドーパミンはどんどん放出されるようになり、結果的にさらに意欲的に行動できるようになる。
「最初は掃除が面倒だと思っていたのに、始めてみると部屋の隅々まで掃除しないと気が済まない」という心理も、これが原因である。
つまり、続けるために大事なことは、自分のやる気に関係なくまずは行動することなのだ。
動き始めれば、やる気は後からついてくる。
続けられない人は、これからは「やる気」に頼らずに、行動することだけに焦点を当ててもらいたい。
明確なゴールを設定する
続けるためには明確なゴールを設定することも大切だ。
続けられない人は「ゴールが曖昧」であることが非常に多い。
目標や夢を叶えるためには、ただがむしゃらに頑張ればいいと思っている。
しかし、その方法では決して続かない。
なぜなら、脳は明確なゴールがなければ「やる気」を維持できないからだ。
そのことは『シャンパリモー財団・未知の世界センター』が行ったマウス実験でも証明されている。
実験によれば、「ゴールがない」状況にあったマウスでは活動が控えめになるのに対して、はっきりとした目的を持つマウスではやる気の減退が抑えられた、という結果が出ている。
つまり、明確なゴールさえ設定すれば、続けられない人でも続けられる可能性が高まるのである。
そのためにも、まずは自分の目標をより具体的に表さなければならない。
例えば、あなたの夢が「英語を話せるようになること」だとする。
それならば、まずは「TOEICで900点取る」「好きな洋画を字幕なしで見れるようにする」などの「具体的なゴール」を設定することが必要だ。
曖昧なゴールでは、「自分が何をするべきか」の方向性も定まらない。
最初は意欲的に行動できても、それでは徐々にやる気は削れていく。
目標達成のためにも、まずは明確なゴールをしっかりと設定すること。
続けられないと悩む人は、このことを心に留めて欲しい。
一気にやろうとしない
続けられない原因は他にもある。
それは、一気にやろうとすることだ。
特に、何をやっても三日坊主になる人はこの傾向が非常に強い。
あなたも子供の頃、夏休みの宿題を最終日に一気にやろうとした経験はないだろうか。
あの時の気持ちをもう一度思い出して欲しい。
重い腰を上げてようやく取り掛かろうとするも、溜まりに溜まった宿題の束を見て、一気にやる気が削がれたはずだ。
一度にやる量が多ければ多いほど、それに比例して心理的負担も大きくなるのだから当然だ。
たとえあなたが「強い意思」の持ち主でも、そんなやり方ではすぐに続かなくなってしまう。
そうではなく、続けるためには一度の負荷を低くすることが大切だ。
具体的に言えば、最初のうちは30分程度でいい。
それもキツければ10分でもいいだろう。
「そんな少しの時間じゃ意味なんてない!」と思う人もいるかもしれないが、それは間違いである。
一気にやって三日坊主になるよりも、毎日少しでもいいからコツコツと続けた方が目標を達成するためには効果的なのだ。
そのことは、ベストセラー著書『「1日30分」を続けなさい!』に詳しく書かれている。
この本には、毎日少しの時間でもいいから続けることで、総合的には大量の時間を費やすことになる、ということがデータと共に記されている。
一気に(長時間)やらなければ意味はない、と思っている人達には、まさに目からウロコの本だ。
私も、最初にこの事実を知った時は心底驚いた。
だが、よくよく考えてみると、それは私自身が自分で経験していることだったのだ。
過去の経験を振り返ると、一気にやって続いたためしが一度もないのである。
やはり、総合的に見れば、毎日コツコツ続けた方が目標達成のためには効果的なのだ。
続けられないと悩む人は、今後は少しでもいいから「毎日続ける」ことを実践してもらいたい。
止めてもリスタートする
続けられない人は、頭の中である約束事を作っている場合が多い。
それは「ずっと頑張る」と意気込むことだ。
これもまた続けることへの弊害である。
すでに習慣化していることや強制されていることでない限り、最初からずっと頑張り続けることは不可能に近い。
本来ならば、疲れたら休憩すれば良いだけなのだが、多くの人は「止めたらそこで終わり」だと思い込んでしまう。
一度止めたら目標は達成できなくなる、と暗示を掛け、ただひたすらに走り続ける。
当然、そんなやり方をしていれば、すぐにやる気は削がれ、気力は続かない。
続けられない人のよくある失敗パターンだ。
ここで一つ、あなたに大事なことを伝えたい。
心が疲れた時は休んでもいいのだ。
【「何もしたくない」と感じた時に必要なこと】でも話したように、心が疲れている時はエネルギーを充電することが何よりも大切である。
そうして、心がリフレッシュしたら再度始めればいいのだ。
大事なことは、一度止めてもリスタートすることである。
多くの人は、一度止めたらそこで夢や目標も一緒に諦めてしまうが、本当は何度だってやり直していいのだ。
長い目で見れば、それが目標や夢を叶えることに繋がるのだから。
一度止めてもリスタートする。
続けるためには、この考え方は必須である。
好きじゃないことは続かない
ここまで、続けられない人の原因を色々と話してきたが、実のところ、それらは本当の意味での続かない理由ではない。
根本的な原因はもっと他にあるのだ。
恐らく、それは続けられない人のほとんどに当てはまっていることだ。
その原因とは、その分野が好きではないからである。
「好きこそ物の上手なれ」という言葉があるように、人は好きな物なら放っておいても勝手にやり続けるものだ。
もっと言えば、続けることが「当たり前」という状態になる。
もちろん、どんなに好きなことでも、時には苦しい思いをする時もあるし、投げ出したくなる時もあるだろう。
だが、それは根底に「好き」という感情が含まれているからこそ、その苦難にも耐えられるのだ。
私にしても、ここまでブログを続けてこれたのも、なんだかんだ言って書くのが好きだからである。
しかし、それでも多くの人がわざわざ「好きではないこと」を続けようとするのはなぜなのか。
それは、目標を成し遂げた後の未来像だけに焦点を当てているからだ。
前述した「英語を話せるようになりたい」という目標であれば、「英語を話せるようになった自分」のメリットだけに焦点を当てているのだ。
英語が話せれば「就職に有利だから」「給料が上がるから」など、「英語自体」が好きなわけではなく、その付加価値のためだけに続けようとするのである。
もちろん、それが悪いことだとは言わない。
付加価値のために頑張ることも、立派な動機づけだ。
しかし、その動機だけでは、どうしても途中で苦しくなり、結局続かなくなってしまうのだ。
自分の将来のためを思って続けようとしても、それ自体が好きではないのだから当然だろう。
そうではなく、本当は続けること自体を楽しむことが重要なのだ。
成功者に共通することは、努力を努力だと思っていないことである。
端から見れば凄い努力家に見えても、本人はそれを好きでやっているだけなのだ。
つまり、続けることを苦だと感じるならば、それはあなたにとって好きではない証拠なのである。
【自分の才能を見つける方法】でも話したように、人には向き不向きがある。
不向きなことを続けても、それはあなたにとって何の得にもならない。
むしろ、幸せの尺度で考えれば、明らかにマイナスである。
【幸せになるために絶対に必要な考え方】で話したように、本当の幸せの形は自分にしかわからないのだから。
本当は好きじゃないにも関わらず、世間の価値観や周囲の意見に流されて、無理に続けることは絶対にしてもらいたくない。
自分にとって、それは本当に続ける必要があることなのか、もう一度深く考えて欲しい。
もし、それでも続ける必要がある、と答えが出たら、その時は、私がこれまで話してきた「続けるコツ」を参考にしてもらいたい。
あなたが夢や目標に向かって「続けられる人」になれることを、私は切に願っている。