長友佑都のtwitterが炎上した理由

サッカー日本代表『長友佑都』のtwitter発言が軽い炎上騒ぎになっている。

炎上したのは2018年1月7日のつぶやきだ。

以下原文ママ。

日本帰ってきたけど、猫背で、表情暗い人かなり多いなぁ。
みんな疲れてるんかな。
姿勢意識するだけでも、思考が変わり、顔の表情変わると思うんやけど。
俺が時差ぼけでテンション狂ってるだけかな。苦笑
みなさんファイト!

一見すればただの感想のように思えるが、この発言はなかなかに深い内容である……。

しかし、「何も感じない人」にとっては、なぜこの発言が炎上したのか、その理由がわからないはずだ。

そこで今回は、長友のtwitterが炎上した理由について、私なりの考察を述べたいと思う。

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長友のtwitter発言が炎上した理由

今回の長友の発言は、ただ炎上騒ぎを起こしただけでなく、日本社会のを浮き彫りにした重大な発言だ。

それは発言の前半部分にある「日本帰ってきたけど、猫背で、表情暗い人かなり多いなぁ」という箇所に隠されている。

実は、この感覚は長友だけでなく、海外から帰国した人の多くが同じことを実感しているのだ。

海外旅行などの短い期間ではそこまで感じないかもしれないが、長友のように海外生活の長い人間にとっては、そのことを敏感に感じるのだろう。

中には帰国後、海外と日本を比較して、日本人の気質を批判する者もいるが、私はその考えは「浅はか」だと思っている。

たしかに外国人のポジティブさに触れた後では、日本人を「暗い」と感じるかもしれない。

実際、私も海外旅行から帰国した後はそのように感じたことがある。

だが、これは発想がなのだ。

日本人が暗いのではなく、日本に住んでいれば、暗くなってしまうのは仕方がないのである。

今の日本はとにかく不安材料が多い。

老後の問題、少子化問題、度重なる増税、生涯年収の低下、ブラック企業の蔓延化など。

つい先日も、「出生数が100万人を割った」というニュースを見た。

景気が良くなってきている、と表向きには言われているが、それを実感できるのは大企業に勤めている一部の人間だけで、大半の庶民にとっては関係のないことである。

そんな世界で過ごしていれば、気持ちが暗くなるのも当然であろう。

皆生きるのに精一杯で心に余裕がないのである。

よって、長友の「表情が暗い人が多い」という発言はあながち間違いではない。

これはもう立派な社会問題なのだ。

だが、長友の残念なところは、それを「個人」のせいに捉えているところだ。

これこそが、今回長友のtwitterが炎上した理由である。

前述したように、多くの人は国が抱える不安材料に苛まされながらも、日々を懸命に過ごしている。

たとえ先行きの見えない未来だとしても、気を振り絞って働いているのだ。

そのような事情を考慮せずに、ただ「下を向くな」と個人を否定することは、あまりにも無神経すぎる。

これがまだ、同じ境遇で生きている人間が「はっぱをかける」意味合いで発言したのなら話は別だ。

しかし、現在の長友の立場といえば、イタリアのビッグクラブに所属し、女優の『平愛梨』と結婚、もうすぐ子供も生まれるという、まさに順風満帆な人間である。

もちろん、それまでの過程には大変な苦労もあったろだろうし、長友の境遇を否定するつもりはない。

だが、そんな住む世界の違う人間に、「暗くならずに前を見ろ」と言われれば、反感したくなるのは当然だろう。

言われた方からすれば、まさに「お前が言うな」という心境である。

人は、何も知らない人間にわかった気で批判されると腹が立つのである。

今回の長友の炎上問題は、そのことが顕著に表れた結果だと言えるだろう。

長友に求めること

今回の長友の発言に「特に何も感じなかった人」にとっては、私がただ長友を批判しているだけに感じたかもしれない。

だが、それは誤解である。

私は決して長友のアンチではないし、むしろサッカー選手の中でいえば、長友は好きな選手の分類である。

彼がまだ日本のJリーグでプレイしている頃、私は「FC東京」の練習場に足を運び、サインをもらいに行ったことさえある。

今でもそのサイン色紙は私の部屋に飾られている。

だが皮肉にも、そのサインには「努力に勝る天才なし」という私の人生観に反することが書かれているのだ。

それを見るたびに、私の心には何ともいえない「やるせなさ」が込み上げてくる。

きっと、この言葉が長友の信念であり、人生観なのだろう。

大学時代は補欠だった彼が、イタリアの名門クラブに入団し、日本代表の顔にまで昇り詰められたのも、この信念があってこそなのだと思う。

まさに、長友はシンデレラストーリーの代名詞とも言える存在だ。

それ自体は賞賛に値することだし、多くのサッカー少年に夢を与えた功績はとても大きい。

だが、忘れてはならない。

【「成功者は努力や苦労している」という間違った考え方の危険性】でも話したように、努力と成功はイコールではないのである。

成功者が努力論を振りかざすことは、時に弱者をさらに追い詰めること繋がる。

今回の長友のtwitter発言には、そのことが垣間見えた気がしたのだ。

思い入れのある選手なだけに、このような発言で炎上騒ぎになることは本当に悲しい。

今後はこのような発言は是非とも控えてもらいたい……。

もし、長友が国民を元気づけたいと願うなら、それは言葉ではなく、プレーで与えて欲しいと思う。

この記事を書いている2018年は、奇しくもワールドカップイヤーである。

日本が勝ち進めば、自ずと国民は元気になるだろう。

そのことを期待して、今後も長友佑都には日本代表を牽引してもらいたい。

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