「好きなことを仕事にする」が正しい理由

好きなことを仕事にすることは良いことか、悪いことか。

このテーマは、仕事における最大のテーマと言っても過言ではないだろう。

昔から「賛成派」と「反対派」に分かれ、両者の間で白熱した議論が繰り広げられてきた。

その議論は今でも続いており、未だに決着はついていない。

ただ、どちらかといえば、「好きなことを仕事にしてはいけない」という意見の方が多い気がする。

現に、とあるアンケートによれば、否定派が52%となっており、過半数を占めている。

やはり、世の中の大半の人は「仕事は仕事として割り切りたい」と考えているようだ。

だが、私の主張は一貫して「好きなことを仕事にした方が絶対に良い」だ。

今回は、なぜ「好きなことを仕事にする」が正しいことなのか、そのことを反対意見に言及しつつ解説したい。

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「好きなことを仕事にする」の勘違い

反対派の人達が「好きなことを仕事にしない方がいい」と言う理由は、好きなことが嫌いになるから、というものだ。

彼等に言わせると、好きなことを仕事にしてしまうと、好きなことが純粋に楽しめなくなる、ということらしい。

たしかに、仕事である以上は楽しいことばかりではないだろう。

そこだけに焦点を当てれば、彼等の意見は間違ってないように思える。

しかし、好きなことを嫌いになる、というのは本当だろうか。

いや、私は決してそうは思わない。

例えば、サッカー選手が休日にフットサルをやることはよく知られている。

厳密には違う競技ではあるが、本当に「嫌い」になったのなら、オフの日はボールすら触りたくないはずだ。

つまり、好きなことを仕事にしたからといって、全ての人が好きなことを嫌いになるわけではないのだ。

では、「好きなままでいられる人」「嫌いになる人」の違いは何なのだろうか。

私は、それは好きなことの細分化ができているかどうか、だと思っている。

細分化とは、自分は何が好きなのか、そのことをハッキリとさせることである。

この細分化ができていないがために、好きなことが嫌いになってしまうのだ。

一つの例を出そう。

「映画を見るのが好き」という人が、映画製作に関わる仕事に就いたとする。

この場合、ほぼ間違いなく「映画を見ること」は嫌いになるだろう。

なぜなら、「映画を見ること」と「映画を作ること」は全くベクトルが違う分野だからだ。

前者は受動的な好きであり、後者は能動的な好きである。

多くの人が勘違いしていることは、自分の好きなことに関連することであれば、同じように好きになれると思っていることだ。

だが、それは大きな間違いである。

好きなこととは、アクマで自分が「没頭」できることだけだ。

このことを誤解しているからこそ、多くの人は好きなことを仕事にすることに失敗するのである。

先程の例のように、映画を作ることに全く興味がないにも関わらず、映画の裏側を見てしまえば、当然、映画を純粋に楽しめなくなるだろう。

しかし、映画を作ることが「好き」な人にとっては、これ以上ないほど喜びを感じるはずだ。

同じ仕事をしていても、これだけ感じ方に差が出るのである。

だからこそ、自分は「何」が好きなのか、そのことをしっかりと把握しなければならないのだ。

映画が好きといっても、「映画を見るのが好き」「映画を作るのが好き」「映画館の雰囲気が好き」と、簡単に思いつくだけでもこれだけの細分化ができる。

人によっては、もっと細分化できるだろう。

もし、あなたが単純に「映画を見るのが好き」というのなら、映画製作よりも「映画評論家」になった方がよっぽど適している。

これならば、「好きなことを仕事にしている」と言えるだろう。

本当に好きなことならば、仕事にしてもそれ自体を嫌いになることは決してない。

好きなことを仕事にするべきか悩んでいる人は、まずはこのことを頭に入れておいてもらいたい。

「好きなことを仕事にする」に反対する人達の心理

前項で話したように、好きなことの細分化が正しくできていれば、好きなことを仕事にすることは決して悪いことではない。

しかし、好きなことを仕事にしたいと思うなら、否定派の意見にも耳を傾ける必要がある。

否定派の意見にこそ、このテーマの本質が隠されているからだ。

そもそも、なぜ世間にはこれほどまでに反対派が多いのだろうか。

その理由は、世の中に好きなことを仕事にしている人が少ないから、である。

それは金銭面や才能、環境の問題など様々な理由が挙げられるが、一番の問題点は、自分の好きなことが「仕事」として成立しないからだろう。

仕事として成立させるためには、お金を生み出さなければならない。

生活するためには、どうしたってお金が掛かるからだ。

ただし、それでも独身者なら自分一人の生計を考えればいいだけなので、好きなことをしているだけでも何とかなる可能性はある。

だが、既婚者子供がいる人はそうはいかない。

家族を養っている以上、自分の気持ちだけで仕事を決めるわけにはいかないからだ。

つまり、必然的に好きなことを仕事にする道を捨てなければならなくなる。

こういう時、多くの人が辿る思考パターンは、好きなことを仕事にすることを「悪いこと」だと思い込むことだ。

好きなことを仕事にすることを「悪いこと」だと決めつけることで、自分の気持ちに整理をつけるのである。

心理学でいうところの合理化だ。

これこそが、世の中の多くの人が好きなことを仕事にすることに反対する理由だと私は思っている。

ただ、誤解しないでもらいたいのは、私はそれ自体を咎めるつもりはない。

前述した事例のように、家族のためを思って自分の気持ちに区切りをつけることは、とても尊い行為だからだ。

年末などに放送されている「プロ野球戦力外通知」のドキュメンタリー番組を見ていると、そのことがよくわかる。

番組内では、戦力外通知を言い渡された元プロ野球選手達が、野球を続けたいと願いながらも、妻や子供のためを想い、自分の夢に区切りをつけて他の仕事に就く決断をしていた。

実力が全ての世界とはいえ、彼等の心境を想像すると、本当にいたたまれなくなってくる。

だが、それと同時に、私は彼等に心から尊敬の念を抱いた。

自分の夢を諦めてでも家族を守ろうとする彼等の強い意思は、端から見ても誇らしいと思ったからだ。

たとえそれが合理化だったとしても、私はそれを「言い訳」だとは思わない。

全ての人間が、好きなことを仕事にできるわけではないのだから。

むしろ、好きなことを仕事にしている人の方が圧倒的に少ないだろう。

だからこそ、あなたが今好きな仕事をしていなかったとしても、何も恥じることはない。

それが普通なのである。

しかし、ここで一つだけ注意してもらいたいことがある。

それは、好きなことを仕事にしている人達を決して妬まないで欲しい、ということだ。

合理化するだけならいいのだが、中には、好きなことを仕事にしている人を憎む者がいる。

本当は自分も好きなことを仕事にしたいと思っているのに、それができないがゆえの妬みだろう。

人間である以上、その感情は仕方がないことだ。

だが、その感情は、自分を知らず知らずのうちに傷つけていることを忘れないで欲しい。

前述したように、全ての人が好きなことを仕事にしているわけではない。

人には様々な事情がある。

もし、仮にあなたが家族のために好きなことを仕事にする道を捨てたのなら、その想いをもっと誇ってもらいたい。

自分は諦めたのではなく、家族を守るためにあえてその道を選んだのだと、強く自覚して欲しい。

間違っても、好きなことを仕事にしている人を見て、嫉妬で自分の心を汚さないでもらいたい。

あなたが苦渋と葛藤のすえに出したその決断は、まぎれもない正しい道なのだから。

たしかに好きなことを仕事にすることは幸せなことである。

しかし、それは全ての人が叶えられるわけではないのだ。

そのことを、好きなことを仕事にしたいと願う人は、しっかりと心に留めておく必要がある。

「好きなことを仕事にする」が正しい理由

前項では、全ての人が好きなことを仕事にできるわけではない、と話した。

しかし、私はそれでも可能な限り好きなことを仕事にすることを諦めないで欲しいと思う。

なぜなら、仕事とは多くの時間を費やすものだからだ。

普通のサラリーマンを仮定しても、一日の労働時間は8時間である。

単純計算すれば、一日の3分の1を労働で費やすことになる。

厳密には、ここに通勤時間や朝の準備の時間も加えるため、睡眠時間を抜けば、一日に自分で使える時間は3~4時間といったところだろう。

つまり、好きなことを仕事にしなければ、一日の大半を「嫌いなこと」で費やすことになるのだ。

これは本当に辛いことである……。

一方で、好きなことを仕事にしていれば、一日の大半は「好きなこと」で埋め尽くされる。

両者の幸福度を比べれば、その差は歴然だ。

私は、仕事は情熱が何よりも大切だと思っている。

情熱を持てるからこそ、良い仕事ができるのだ。

そういった仕事には賃金以上の価値がある。

プロ野球の『イチロー』を思い浮かべて欲しい。

もうとっくに働かなくても生涯遊んで暮らせるだけの資金を稼ぎながらも、40歳を超えて未だに現役を貫いている。

記録に挑戦する、という意味合いもあるだろうが、それ以上に、やはり仕事に対して「情熱」を持っているからだろう。

以前、彼のドキュメンタリー番組を見たことがあるが、そこで独自の野球理論を語る彼の表情は本当に輝いていた。

これが本当の意味で「好きなことを仕事にする」ということなのである。

同じメジャーリーガーの『ダルビッシュ有』にしても、プライベートの時間にtwitterでファンと野球について熱い議論を交わしている。

金銭が発生しない無償にも関わらずだ。

彼等のように、好きなことを仕事にできれば、間違いなく人生は幸せだ。

もちろん、時には辛いと思うこともあるかもしれないが、それは本気で情熱を注げる仕事だからこそ意味があるのだ。

その根底には、やはり「好き」という感情が含まれているのである。

どうか、あなたも好きなことを仕事にすることを諦めないで欲しい。

あなたが好きなことを仕事にできることを、私は切に願っている。

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