【体験談】新卒で入社した会社がブラック企業だった話

四月といえば始まりの季節。

高校、大学、社会人と、それぞれが新しい環境へと移り変わる。

特に、新社会人にとっては「学生」という肩書きが消える大きな節目の時期だ。

多少の不安はあれど、新しい職場に期待を抱く人は多いだろう。

しかし、残念ながら、全ての新社会人が期待通りの新生活を送れるわけではない。

中には、裏切られたと感じる人もいるのだ。

それは、ブラック企業に入社してしまった者のことだ。

今回は、そんな不運にも新卒で入社した会社がブラック企業だった者へ、私の体験談を交えながら、今後の方針を助言したい。

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新卒でブラック企業に入社した話

今から約十年ほど前、私は新卒で金融会社に内定をもらい、初めてサラリーマンというものを経験した。

金融系は忙しくて大変、と周りからも言われていたので、ある程度の覚悟はしていた。

だが、その「大変」という言葉は、私が想像していた意味合いとは大分異なるものだった……。

まずは、私が新卒で入社した会社での体験談を語り、ブラック企業とはどのようなものなのかを知ってもらいたい。

入社初日、最初に行われたのは新入社員の歓迎会だった。

開かれた場所は、結婚式でも使われる綺麗なホテルの一室。

豪華な食事を堪能しながら、私も含めた新入社員達は先輩社員と談話する。

あ~なんて良い会社なんだ。

まだ何も知らなかった私は、このことだけで会社に好印象を抱いた。

しかし、それが私の早とちりだったことに、すぐに気づかされる。

なんと、歓迎会はものの30分ほどで終わったのだ。

ほとんどの食事が手付かずの状態で残っているにも関わらず、有無を言わせない勢いで即座に退席させられた。

「もっと食べたかったな」などと呑気なことを思いつつも、私は渋々とホテルを去った。

そうして連れて行かれたのは、会議などで使われる大部屋だ。

部屋にはホワイトボードがあり、それに平行して机と椅子が並べられている。

その光景は、まさにのようだった。

先輩社員の誘導で指定された席に座らせられ、まずは一人ずつ自己紹介をするように言われる。

この自己紹介では、主にサークル活動や自分の趣味など、学生時代の楽しかった思い出を語る者が多かった。

中には話がとても面白い人もいて、最初は堅かった空気も、いつの間にか笑い声が漏れるほど和んでいた。

私も自分の順番を待ちながら、どんな話をすれば皆を笑わせられるか、そのことばかりを考えていた。

そんな時だった。

突然、部長が立ち上がり、全員に向かって「やめろ」と言い放ったのだ。

その口調は、それまでの和やかな雰囲気とは一変して、酷く冷淡な物言いだった。

戸惑う周囲をよそに、部長はこう続ける。

「お前ら何か勘違いしてないか? 俺は自己紹介しろと言っただけで漫談しろなんて言ってねーだろ。せっかく人が自己紹介の機会を提供してやったのに、何考えてんだ?」

場の空気は一瞬にして凍りつく。

しまった、ここはもう学校ではなく会社だったのだ……。

私は自分の甘さを反省した。

周囲も私と同じ気持ちを抱いたらしく、それ以降は笑い声が漏れることは一切なかった。

当時は部長の言葉を真に受け、自分達に非があると思っていたが、今になって思えば、これは部長の作戦だったのだと思う。

もし、本当にビジネスマンのようなお堅い自己紹介を求めていたのなら、最初から部長自身がそのような雰囲気を作れば良いのだから。

あの時の部長の振る舞いは、明らかに私達を談笑の方向へ誘導していた。

恐らく、これは私達に自責の念を持たせることで、部長に対する従属心を高めることが狙いだったと思われる。

そのことは、その後の部長の行動からしても確信できた。

結局、部長の一言で自己紹介は中断され、その後、すぐに椅子と机を端に寄せるように指示されると、次に行われたのは挨拶の練習だ。

挨拶と言っても、ただのビジネスマナーではない。

ブラック企業の代名詞といってもいい、俗にいう絶叫挨拶だ。

「おはようございます!○○会社、△△課の××です」

部屋中に響き渡るほどの大声で叫び、それでも声が小さいと先輩社員から怒られ、何度もやり直しをさせられる。

何度もやり直しをさせられたうえで、ようやく先輩社員から「許し」をもらうと、次は45度のお辞儀だ。

1度のズレも許さない、といった具合で、45度ピッタリになるまで、これも何度もやり直しをさせられた。

このくだりを、二組に分けたグループで、すれ違いざまに交互に行う。

午前中は、これを3時間休憩なしで続けさせられた。

昼休憩を挟み、午後からは金融業界についての勉強会だ。

勉強といえば聞こえはいいが、実際やっていることは午前中とさほど変わらない。

配布された資料を大声で読み上げる、絶叫音読だ。

最初に配布されたのは、この会社の社長が執筆した自伝書だった。

これを一人ずつ読み上げさせられるのだが、少しでも声が小さければ部長から怒られる。

本には、社長の理念や人生観、会社を作った動機、などが書かれていた記憶があるが、大絶叫の方に神経を集中しているので、肝心の内容はまるで頭に入らなかった。

いかにして部長から怒られないようにするか、皆そのことだけに神経を注いでいた。

そうして、大絶叫の音読が終わると、ようやく金融知識についての勉強に移る。

しかし、ふと時計を見ると、この時点で時刻は18時を過ぎていた。

たしか、この会社の定時は18時だったはず……。

一瞬、そのことを疑問視したが、すでに社会人としての自覚を植えつけられていた私は、特に気に留めなかった。

定時を過ぎてからの講義は3時間ほど続けられ、結局、初日の勤務が終わったのは21時過ぎだった。

ちなみに、当然ながらこの会社では残業代は支払われない。

社長自らが「20時からが営業のゴールデンタイム」と言っているくらいなので、そもそも残業という概念がないようだ。

なんにせよ、ようやく初日の勤務が終わり、私が安堵していると、部長から信じられない言葉を告げられる。

「明日までにこの課題を終わらせて提出するように」

一瞬、自分の耳を疑った。

これだけ満身創痍でヘトヘトになっているにも関わらず、家に帰ってもまだ仕事をしなければならないのか、と。

比喩ではなく、本当に背筋が凍った。

しかも、課題の量は簡単に終わらせられる量ではない。

ざっと見ても10ページはあった。

私は、会社から家まで1時間以上かかるため、帰宅してからこれを終わらせると、確実に日付をまたぐことになる。

もちろん、それには夕食の時間は含めていない。

ありえない……。

私は心の中で呟いた。

そうは言っても、やらないわけにはいかず、私は睡眠時間を削る覚悟で課題に挑んだ。

結局、課題が終わったのは午前3時頃だ。

改めて確認するが、これは入社初日の話である。

社会人とはこんなにも辛いものなのか……。

わずか一日で、私は社会人としての生活に絶望することになった。

だが、それがブラック企業ゆえの過酷さだということに、この時の私はまだ気づいていなかった。

ブラック企業だと気づいたきっかけ

前項で話したように、私は新卒でブラック企業に入社してしまった。

入社初日からブラック企業の洗礼を浴びたが、この時はまだ、そのことを気に留めていなかった。

私の頭には「社会人は辛いもの」という固定観念があったので、これは「普通のこと」だと思っていたからだ。

しかし、入社二日目、私はこの会社が異常だということを悟ることになる。

そのきっかけは、二日目の朝に起こった。

その日、私は昨晩の課題で睡眠不足になりながらも、始業時間の15分前に到着した。

私が会社に到着した時には、すでに全体の6割ほどの者が着席していた。

周囲の様子を伺うと、やはり皆、目がうつろでげっそりとしている。

その様子に、私の頭には昨日の出来事が思い浮かぶ。

また今日も絶叫を張り上げなければならないのか……。

そのことを考えると、朝から気が重くなってしまった。

そんな時だった。

突然、廊下から部長の怒声が聞こえたのだ。

「キサマ!どういうつもりだ!」

一体何が起こったのか、私を含め、全員に緊張が走る。

しばらくして、部長が部屋に入ってきた。

「お前ら聞け。こいつらが重大な失態を犯した」

その言葉に連れられて、5人の新入社員が部屋に入ってくる。

部長の話を聞くと、どうやら、この5人が遅刻したことに激怒しているようだ。

しかし、時計を見ると、まだ始業開始時間の8分前である。

一体これはどういうことなのか……。

わけがわからない、といった様子で、皆も私と同じく戸惑っている。

そんな私達の気持ちを察したのか、部長はこう続けた。

「始業開始10分前には働ける準備を完了してるのが常識だろ!5分前で間に合うと思ってんのか!」

つまり、部長の言い分では、10分前に会社に来ていないことは遅刻と同じ扱いということらしい。

私は驚きを隠せなかった。

5分前ならまだしも、10分前でなければ遅刻扱いされるなんて……。

今まで、そんな話は聞いたこともなかったからだ。

しかし、「遅刻」した5人は、ただ黙って顔をうつむけている。

念のために補足しておくが、部長からは「9時」に着席しているようにと指示されていた。

なので、今改めて考えても、やはり部長の言い分はおかしい。

今の私なら、このことに意義を申し立てるところだが、当時は、部長の鬼気迫る表情にただ圧倒されるだけだった。

他の者も私と同じ気持ちだったしく、全員顔がこわばっていた。

そんな私達をよそに、部長の5人への追求は止まらない。

「お前等のせいで始業時間が遅れただろ。他の者にどう責任取るつもりだ!」

その言い方は、もはや完全に脅しである。

逆らうことができるわけもなく、遅刻した5人は一人ずつ反省の言葉を大声で叫ぶ。

その一人の言葉を、私は今でも鮮明に覚えている。

「自分は社会人としての自覚が甘く、5分前に来れば良いと思っていました。自分のせいで、みんなの時間を奪ってしまい本当に申し訳ありませんでした」

再度言うが、厳密には遅刻していないのである。

にも関わらず、時間を奪ったことに対する謝罪を強要される……。

私はこの時、心底震え上がった。

もし、私が会社に来るのをあと5分過ぎていたら、前に立たされている5人と同じ末路を辿っていたのだから。

そのことを想像するだけで、恐怖で足がすくんでしまった。

それと同時に、私はこの会社に不信感を強く抱くようになった。

遅刻をしたわけでもないのに、ここまでしなければいけないのは明らかに異常だ……絶対におかしい!

だが、そんな私の気持ちとは裏腹に、他の者はこの件以来、一層熱を上げて絶叫挨拶に励むようになった。

そんな中、皆の熱意と反比例するように、私だけはモチベーションが下がっていくのだった……。

ブラック企業は辞めることも大変

前項の話から一週間。

会社では、相変わらず絶叫挨拶の練習が繰り広げられていた。

あれ以来、私のモチベーションは完全に下がっていたが、「社会人は辛いもの」という固定観念だけを頼りに、ただ無心で耐えていた。

しかし、やはり表面上は隠していても、私の心に「熱」がないことは、わかる人にはわかってしまうようだ。

ある日の勤務終了後、私は先輩社員から呼び出しを食らう。

「おい! ゆみよし、ちょっとこっちにこい!」

先輩社員の怒声に、皆が私に注目する。

「お前、もっとちゃんとやれよ。こんなことじゃこれからやっていけねーぞ!いつまで学生気分でいるんだよ」

周囲の目を気にする様子もなく、先輩社員はひたすら私に罵声を投げかける。

公の場で個人的に罵倒されることは、ひどく屈辱的だった。

先輩社員の言い分は、要約すると、私の覇気のない態度が気に入らない、ということらしい。

簡単に言えば、目をつけられたのである。

元々、私は体育会系の気質ではないため、このようなタイプの人間とは相性が悪い。

さらに、もうすぐ全体での研修が終わり、来週からはそれぞれの配属部署に移ることも影響していたのだろう。

どうやら、私の配属先は、この先輩社員がいる営業部になるようだった。

つまり、この先輩社員は私の直属の上司ということになる。

もしかしたら、先輩社員は私が部下になることに嫌気が差していたのかもしれない。

先輩社員の目からは、私に対するうんざりとした気持ちをひどく感じた。

一方の私の方も、このことである気持ちが芽生える。

逃げなければならない。

今後、ずっとこの先輩社員の下で働けば、私は必ず壊れてしまう。

そのことを私の本能が察した。

辞めるなら、まだ配属先が決定していない今しかない。

私の決意が固まった瞬間だった。

家に帰り、私はすぐさま辞表を書いた。

これで明日には晴れてこの会社を辞められる。

そう思っていた……。

だが、ブラック企業の真に恐ろしいところは、辞めることも簡単にはできないところにある。

そのことを、私は身を持って体感した。

翌日、私はいつもより早く会社に行き、人事の元へ急いだ

その途中、同僚達に会うと、「大丈夫か?みんなお前が辞めるんじゃないかと心配してるぞ」と声を掛けてくる。

昨日の一件で、周囲も私の異変に気づいたようだ。

「昨日のことは気にするなよ」などと、中には優しい声を掛けてくれる同僚もいた。

しかし、私には、その言葉が「俺たちも我慢してるんだから、お前だけ逃げるなよ」という脅しにしか感じられなかった。

そう思ったのも、彼等の目が一様に強張っていたからだ。

鋭い目で私を睨みながら、優しい声を投げ掛ける。

言葉と表情がまるで一致していない。

それがどんなに不気味なことかを、私はこの時に初めて感じた。

とりあえず、その場は同僚達に曖昧な返事を残し、ようやく人事の元に辿り着くと、私はすぐに辞める意思を伝えた。

当然、人事は私の言葉に怒り狂った。

なるべく事を荒げないように、私は冷静に言葉を探す。

「自分はこの会社の役に立てないと感じました。これ以上ここにいると先輩方に迷惑が掛かると思うので……」

最初は、アクマで自分の問題であり、会社には責任がないという風に伝えた。

しかし、それでも人事はどうしても納得がいかない様子だ。

このままでは埒が明かない、と判断し、私は本心を話すことにした。

「すいません、辛いです。これ以上耐えられません」

この言葉を伝えると、ようやく人事は口をつぐんでくれた。

「わかった。でも部長にも許可をもらわなければならない。ちょっとここで待ってなさい」

そう言い残し、人事は部屋を出て行く。

予想していた通り、やはり部長と対峙しなくてはならないらしい。

人事の内心では、部長ならきっと私を説得できるはず、と思っていたに違いない。

しかし、私は「絶対に屈しない」と強く心に誓っていたので、説得には応じない自信があった。

だが、部長が部屋に来たのは、それから一時間後のことだった。

これだけ待たされると、気構えていた気持ちも冷めてきてしまった。

もしかしたら、それが狙いだったのかもしれないが……。

部屋に入ってきた部長の態度は、今までとは別人のように和やかな表情だった。

「どうした?そんな思い詰めた顔をして」

人事から話は聞いてるはずだが、部長の態度は、アクマで何も知らない、といった様子だ。

観念した私は、意を決して部長に辞める意向を伝える。

私の言葉に、部長は特別驚いた様子もなく、こう告げた。

「うん、辛いよなー。みんな最初はそう言うんだよ。俺だって最初の頃は辛かった。でも今はあの頃があったから今の自分があるって思えるよ」

お決まりのフレーズ。

想定していた言葉だけに、この程度では私の気持ちは揺らがない。

しかし、段々と部長の話は熱を帯び始める。

油断していた私は、すぐに態勢を整えようとした。

だが、一度火がついた部長の説得はもう止まらない。

営業部長というだけあって、言葉巧みに色々な角度から私の心を責めてくる。

その中でも、特に私が印象に残っている言葉が以下のものだ。

「母親が子供を産む時の辛さって知ってるか?鼻からスイカを出すくらいに痛いんだぞ。それでも生まれてきた子供を見ると、産んで良かったって思えるんだ。お前も今耐えれば必ずそう思える時がくる」

そう言った部長の目は、何かを確信したような輝きだった。

きっと、このセリフで今まで何人も説得してきたに違いない。

今思い返してみると、子供を産んだこともないくせに何を言っているんだ、と笑ってしまうのだが、この時は、部長の言葉に物凄く説得力を感じてしまった。

部長の言う通り、今を乗り越えれば後から良かったと思える日がくるのかもしれない……。

私の頭に、辞めることは間違っているのかもしれない、という疑念が浮かぶ。

そう思いつつも、どうしても部長の説得に応じる決心がつかなかった。

なかなか首を縦に振らない私に、シビレを切らした部長は、ついに私を追い詰める最終兵器を使ってきた。

「お前が辞めたら他の奴等のモチベーションまで下がるんだぞ。そのことをわかっているのか?」

部長の言葉に、私は動揺した。

自分が辞めることで、他の者にも影響を与えてしまうなんて考えもしなかったからだ……。

そう言われてしまっては、もはや何も言い返せなかった。

もう部長を説得するのは無理だ……。

部長と対峙する心は折れ、私は辞めることを諦めかけた。

その瞬間、私の頭には、先輩社員の下で働く自分の未来像が思い浮かんだ。

イメージの中の私は、先輩社員にいびられ、怒鳴られながらも、辛い毎日を必死に耐えている姿だった。

それは、どう考えても絶望の日々にしか思えなかった。

そんな日常を、自分はこれから毎日味わらなければならないのか……。

そう思うと、目には自然とが溢れくる。

「すいません……」

気づけば、私はポロポロと涙を流し、震える声でそう呟いていた。

その言葉は、部長に向けたものなのか、同僚に向けたものなのか、自分でもよくわからなかった。

もしかしたら、自分の意志を貫けなかった自分自身に対しての謝罪だったのかもしれない……。

しかし、このことで事態は好転する。

なんと、あれだけ私の言葉を聞き入れなかった部長が、「わかった……」と一言だけ呟き、辞表を受け取ったのだ。

泣くほど苦悩する私の姿を見て、これ以上は何を言っても無理だ、と悟ったのかもしれない。

私の涙が、部長の心を揺らしたのだ。

だが、逆にいえば、そこまでしなくては辞表を受け取ってはくれなかったとも言える。

なんせによ、私はこうしてブラック会社を辞めることができた。

しかし、辞めた後もやはり、円満退社とはいかなかった。

私が辞表を出した時は、まだ給料が発生していないということで、私はこの会社に初めから入社していないという扱いにされたのだ。

そのため、私の年金手帳には、この会社の職歴は載っていない。

短い職歴がバレずに済んで良かった、と思う反面、私が出社した日の賃金が一円も支払われないことには、やはり納得がいかなかった。

補足しておくと、当然ながら電車賃も支払われていない。

なので、お金のことだけでいえば、私は完全にタダ働きをしたことになる。

もちろん、これは違法なので、労基に訴えることも考えたが、これ以上はこの会社と関わりたくない、という気持ちが先行し、私は泣き寝入りした。

ただ、今ではブラック会社がどのようなものかを知る良い機会だったと思っている。

新卒でブラック会社に入社した人はどうするべきか

ここまで、私が新卒時代に勤めた会社の話をしてきた。

私の体験談から、ブラック企業の実態がどのようなものか、大よそを把握してもらえたと思う。

私の経験上、ブラック企業の特徴には、職務とは関係ないことに異様に力を入れていることが挙げられる。

それは前述したように、大絶叫を強要されたり、社内独自のルールが存在するなどだ。

上記の体験談には書かなかったが、私の会社では、部屋に入る時は「入ります」、出る時は「失礼します」ということを大声で叫ばなければならないルールがあった。

このルールは外来客がいる時でもお構いなしに行われるため、会社内では常に誰かしらの絶叫が木霊していた。

初めて訪れた客はさぞかし驚いたことだろう……。

このような異常ともいえる社内ルールが作られるのも、元を辿れば社長のワンマン経営が原因なのだ。

こういった会社は客の利益よりも先に、いかに社長を気持ちよくさせるか、そのことばかりが重視されている。

しかし、ワンマン経営なため、絶対的な権力を持つ社長には誰も逆らうことができない。

だからこそ、このような異常なルールがまかりとおるのだろう。

結局のところ、ブラック企業とは、社長の顕示欲を満たすための道具でしかないのだ。

もし、あなたの会社も、私の体験談と同じようなことが当てはまるなら、それはブラック企業の可能性が高い。

その場合、私はすぐに逃げ出すことを提示する。

世の中には、三年は我慢するように、という教えがあるが、そんなことを守る必要はない。

【良い大学、良い会社に入ることへの幻想】で話したように、現代社会は昔とは全ての事柄が変化している。

三年我慢したかといって、あなたの人生が向上する保証は一切ないのだ。

現に、私が新卒で勤めた会社は、私が退職した二年後に倒産した。

もし、あの時、私が会社を辞めていなかったら、きっと私の精神は崩壊し、絶望の海に呑み込まれていただろう。

私は【辛いことから逃げるのは悪いことではない、それは強さだ】で話したように、過去に逃げることの重要性を学んでいた。

その教訓があったからこそ、あの時は「逃げよう」と決意できたが、大半の人はすぐに決断することができないかもしれない。

それは主に、への申し訳ないという気持ちがあるからだ。

私の母親も、私が会社を辞めることを伝えると、酷く悲しんだ。

やはり、母親の世代には、新卒で入社した会社は生涯勤めるもの、という図式が刷り込まれているのだ。

ましてや、新卒で入社した会社をすぐに辞めることなど、昔の時代では考えられなかったことだろう。

恐らく、あなたの親も、辞めることを伝えれば、私の親と同様の反応をすると思われる。

しかし、それでもあなたには自分の意思を貫いてもらいたい。

その結果、たとえ親を悲しませることになったとしてもだ。

なぜなら、働くのは紛れもないあなた自身だからだ。

親はあなたのことを心配してくれても、あなたの気持ちを完全に共有することはできない。

ブラック企業で働く辛さは、あなたにしかわからないのだ。

自分の人生は親のためにあるのではない。

どうか、このことをくれぐれも忘れないでもらいたい。

そして、あなたの貴重な人生を、ブラック企業などで消費しないでほしい。

新卒で入社した会社を辞めることは、たしかに勇気のいることだ。

私のように、すぐには辞めさせてもらえず、上司と対峙することになるかもしれない。

しかし、そこで妥協して留まれば、人生でもっと大事な物を失うことになってしまう。

きっと、あなたはすでに自分が進むべき道が見えているはずだ。

自分の本当に進むべき道は、誰かに教えてもらわなくても直感でわかるもの。

その進んだ道には、必ずあなたを理解してくれる人が待っている。

どうか恐れずに、勇気を出して一歩を踏み出してほしい。

あなたが一日でも早くブラック企業から解放され、自分の道を進めることを、私は心から願っている。

※追記

ちなみに私は転職後もブラック企業を経験している。

その体験談に興味がある方は、下記の記事も合わせてどうぞ。↓

【体験談】ハローワークで見つけた会社がブラック企業だった話

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