世の中には仕事を辞るか悩む人は多い。
彼等は仕事をしてる間も、ずっと心の中で「辞めたい」と叫び続けている。
頭ではやらなければいけないとわかっていても、どうしてもモチベーションが上がらないのだ。
その一方で、仕事を辞めることへの踏ん切りもつけられない。
そんな葛藤に悩まされ、毎日をモヤモヤと過ごしている。
きっとあなたもそんな一人だろう。
今回はそんなあなたに、仕事を辞めべきか続けるべきかについて、私なりに答えを示したい。
仕事を辞めたいと思う理由は二つ
仕事を辞めたいと思う理由は大きく分けて二つである。
一つは仕事自体が嫌で仕方ない、という場合。
これには職場の人間関係や職場環境も含まれる。
もう一つは他にやりたいことができた、という場合だ。
細かく分ければ理由はまだあるかもしれないが、大別するとこの二つのどちらかである。
結論から先に言うと、私が示す答えは、どちらの理由でもすぐに今の仕事を辞めるべきだ。
では、その理由を詳しく説明していく。
仕事(人間関係・環境)が嫌な場合
まず一つ目の理由である「仕事自体が嫌」という理由であるが、これは悩む必要がない。
あなたが嫌だと思うなら、それはあなたの心が今の現状を拒絶してる証拠である。
人間の心というのはとても優秀で、無意識にその人の本当の望みを示してくれるのだ。
あなたがどんなに頭で今の仕事を続けた方が良いと思っても、自分の心にまでは嘘をつけない。
心はいつだって自分の本心を示しているのだから。
例えば、多くの人が悩む人間関係について、嫌な上司だったり、嫌な同僚だったりと、あなたと合わない人間のせいで仕事を辞めたいと思っているとする。
この場合、本当の意味での解決策は一つしかない。
その嫌な人から物理的に離れることである。
人によっては歩み寄ろうとしたり、相手の良いところを見つけようと必死になる人もいるが、それは無駄な行為だ。
断言するが、あなたが嫌だと思う人間はいつまでたっても嫌なままだ。
他人を変えることはできない。
一時的に関係が良くなったとしても、あなたが無理して続ける関係は必ずいつか歪みを起こす。
つまり、今のまま仕事を続けていれば、あなたは永遠に苦しみ続けるということである。
その結果どうなるか。
あなたの心はどんどん疲労していき、行き着く先はうつ病である。
こうなったらもう手遅れだ。
もちろん、仕事なのだから多少は合わない人間がいても譲歩しなければいけないこともあるだろう。
しかし、「辞めたい」と思うほどの人間なら別である。
これはもう完全にあなたの人生において害悪でしかないのだ。
そんな人間と関わっていることが人生においてマイナスである。
心を病む前にすぐに今の仕事を辞めて、その人(職場)から離れるべきである。
ただ、中にはそれでも我慢してしまう人もいる。
そういう人のために、ここで一つ、大事なことを伝えたい。
この世に自分の健康より大事な仕事はないのだ。
先程も言ったが、自分の健康を害することは人生において何物にも代えがたいマイナスである。
一度心を壊したら、治すのは至難の業だ。
人によっては回復するまでに数年単位の時間が掛かるかもしれない。
一方で、体が健康なら何だってできる。
転職でも独立でも、自分の思った通りに行動できるのだ。
しかし、健康を害したら、その職場から逃げることすらできなくなる。
仮にあなたが心を壊しても、周りは誰も責任を取ってくれない。
自己責任で片付けられ、あなたの苦労は何も身を結ばないのだ。
そうなる前に、「辞めたい」と思ったのなら、自分の心の声に純粋に従うべきである。
その声こそがあなたにとっての本心なのだから。
他にやりたいことがある場合
二つ目の理由である「他にやりたいことができた」という場合について。
こちらの理由は先程の場合と違って今の仕事を辞めたいと思うほどではない分、なかなか踏ん切りがつけられないだろう。
だが、私はこちらの理由も断固として辞めた方が良いと伝える。
その理由は人生は有限だからである。
人はお金の預金残高などには気を回しても、人生の残り時間については無頓着な人がとても多い。
当たり前だが、人生は日々「命の最後の日」に近づいていく。
やりたいことをやる時間というのも限られているのだ。
老人が人生で一番後悔していることは何か、という質問で一番多かった答えが「挑戦しなかったこと」だという。
それだけ世の中の多くの人はやりたいことができずにこの世を去っていくのだ。
きっとあなたは「今はその時ではない」と思ってるかもしれない。
もう少しお金が貯まったら、もう少し落ち着いてから、年齢が○歳になってから、など。
理由はなんであれ、いずれやればいい、と思ってるはずだ。
しかし、その「いずれ」という考えが間違っているのだ。
多くの人は人生の期限について勘違いしてる。
やりたいことができる時間というのは、何も自分の時間だけで考えることではない、ということを。
自分が年を取れば、その分、親も年を取る。
そうなれば親の世話をしなければならなくなるかもしれない。
はたまた結婚すれば家族を優先し、自分のために使える時間も少なくなる。
子供ができれば尚更のことだ。
このように否が応にも自分の身の周りの環境は時と共に変わってくるのだ。
それだけではない。
自分の中にある気力もまた有限であることを忘れてはならない。
新しいことを始める気力というのは年を取れば取るほど落ちていく。
だからこそ「やりたい」と思った時に始めなければ、永遠にその夢は叶えられなくなってしまう。
前述した老人達も、きっと自分のやりたいことを「いずれ」はやるつもりだったのだろう。
だが、それをやろうとした時にはすでにそれができる状態ではなくなっていたのだ。
それは前述したように、身の周りの環境の変化かもしれないし、気力の問題かもしれない。
いずれにせよタイミングを逃したのである。
もし、あなたがやりたいことをやらずに今のまま過ごしたらどうなるか。
それは必ず「自分の人生はこれで良かったのか」と思う時がくる。
個人差はあるが、どんな人でもおおよそ50歳になる頃にはそのことを思案することになる。
どうせやるなら早い方が絶対にいい。
やらなければ人生は必ず後悔することになる。
だからこそ、やりたいことがある人は今の仕事を辞めてやりたいことをやるべきなのだ。
その結果が成功か失敗かは関係ない。
やりたいことをやった時点で人生の視点から見れば間違いなく成功なのだから。
仕事を辞めることに不安があるのは当たり前
仕事を辞めたいと感じたら辞めた方が良い、ということは上記で述べた通りだ。
しかし、それでも辞めることを躊躇してしまう人も多いだろう。
なぜ辞めることにここまで抵抗を感じるのか。
それは辞めることに不安を感じるからだ。
そう思うのも無理はない。
なぜなら、これには人間の心理的メカニズムが関わっているからだ。
人間には現状を過大評価し、新しい道に進むことを防ぐ心理的メカニズムが備わっている。
これを現状維持バイアスという。
これは今の現状を変えてリスクを取ることよりも、多少は辛くても我慢した方がリスクが少なくて済む、という人間の防衛本能である。
古来より人間はこの心理的メカニズムがあったからこそ、命を繋いでこれた。
大昔は知らない道に進めば猛獣に襲われたり、食べ物に困って飢餓に苦しんだりと、命を落とす危険に直結したからだ。
だから、むやみに現状を変えることはできなかった。
そのDNAが現代人にも引き継がれており、私達は無意識に現状を維持しようとしてしまうのである。
しかし、現代では街に猛獣はいないし、飢餓で命を落とすということも滅多なことでは起こらない。
にも関わらず、この心理があるからこそ人は仕事を辞めることができない。
もし、あなたが大企業や公務員など、世間で良いとされる仕事をしていれば、尚更その心理が働くだろう。
今の職場は世間的に見れば給料も悪くないし、人間関係も我慢できないほどではないのだ。
辞めたいと漠然とは思うものの、辞める決定打がない。
こういった状況では大半の人が現状を維持しようとする。
しかし、不思議なことに、どんなに頭では納得したとしても「辞めたい」と思う気持ちはなくならないのだ。
そしてその思いは生涯消えることはない。
なぜなら自分の本心ではないからだ。
人はどんなに今の現状が恵まれているとわかっていても、自分が本当に求めている物でなければ心から納得できないのだ。
だからこそ、辞める時には勇気が必要なのである。
自分の求める本当の幸せとは何なのか。
そのことをじっくりと考える必要があるのだ。
そして、その望みが今の状況と違うなら、その人生に近づくように努力しなければならない。
その一歩が今の現状を変えるために仕事を辞めることなのだ。
先程も言ったが、仕事を辞めることに不安や恐怖がつきまとうのは当然だ。
人間には現状維持バイアスがあるのだから。
だが、そこで勇気を持って辞めなければ、あなたは必ず人生に後悔する時がくるだろう。
給料が良くて安定した会社に定年まで勤めれば良い人生。
そんなものは全て他人軸で決められた価値観だ。
自分の本当に望む人生は他人との比較ではなく、自分軸で考えるべきなのである。
そのことを忘れないでもらいたい。
最高の人生を歩むために
仕事というのは人生の大部分の時間を費やすものだ。
つまり、仕事が辛いと感じるなら、それは人生の大半が辛いと同義である。
それがどれだけもったいないことか……。
常々、我慢しながら働いてる人達を見て、私は嘆いてしまう。
2018年からメジャーリーグで活躍している大谷翔平を見てもらいたい。
彼は二刀流という普通では考えられない偉業を海外の地で成し遂げている。
私が彼を凄いと思うのはその能力ではない。
彼が自分の本心に従って生きる勇気を持っていることだ。
並の人間なら、彼の立場でわざわざメジャーに行こうとは思わなかっただろう。
彼は日本で十分に成功を収めていたし、本人の希望である二刀流もできていたのだから。
それをわざわざリスクを背負って、文化が違う異国の地で二刀流をやろうなど、常人では考えられない所業である。
きっと多くの人は今の現状(日本で二刀流)を維持した方がいいと思ったはずだ。
しかし、彼の心には「メジャーに挑戦したい」という気持ちがずっとあった。
その本心にリスクを背負って従ったのだ。
それが2021年の大活躍に繋がったのである。
それに比べて、この国には惰性で仕事をしている人がどれだけ多いことか……。
一度きりの人生、自分の思い描いた最高の人生にしたいではないか。
どうか、仕事を辞めようか悩んでいる人は、その決断を目先の損得ではなく、人生の視点で判断してもらいたい。
そうすれば、今の仕事を辞めることがどれだけ人生において小さなことかわかるはずだ。
あなたには今よりもっと輝ける場所が必ず存在する。
その場所に行くために、一歩勇気を踏み出してほしい。
あなたが後悔のない人生を歩むことを願っている。