先日、Youtuberが逮捕される事件が起こった。
経緯を簡単に説明すると、2017年8月30日に「警察官の前で白い粉をわざと落として逃げる」というイタズラ動画が『YouTube』に上げられ、その投稿者が偽計業務妨害で逮捕されたのだ。
逮捕されたのは自称広告業の31歳の男とその妻。
投稿者が30歳を過ぎた大人ということで、最初に知った時は驚愕した。
まさか自分と同じ世代の人間がこんな浅はかな行動で逮捕されるとは……。
正直、未だに信じられない……。
しかし、驚愕したのはこれだけではない。
今回の逮捕に関して、ネットで投稿者を擁護する者がいることだ。
これには本当に驚いた……。
一体、日本のモラルはどうなってしまったのだろうか……。
今回は、そんな近年のYoutuber事情から、日本のモラルが低下している原因について語りたい。
逮捕されたYouTuberが与えた社会的損害
実は、私はこの動画を投稿者が逮捕される前から知っていた。
この動画が上げられた当日に、たまたまYouTubeを見ていて目に留まったのだ。
タイトルからおおよその内容はわかっていたが、警察がどのような反応を取るのか気になり、好奇心に負けてつい見てしてしまった。
完全に投稿者の思惑通りである。
動画の内容はタイトルの通り、投稿者が警察の前で「白い粉」をわざと落とし、焦ったフリをして逃げる、というものだった。
実行する前に「不良」を装った格好に着替えて、自分への疑惑をあえて高めていることからも、その悪質さがうかがえる。
常識的に考えれば、こんなことをすればタダでは済まされないことなど容易に想像がつくはずだ。
逮捕されても何も文句は言えないだろう。
しかし、ネットの反応を見ると、「これのどこが犯罪なんだ?」「警察が勝手に間違えただけだろ」など、投稿者を擁護する書き込みが多々見受けられた。
ありえない……。
私は、この現状を見て心底震え上がった。
こんな「当たり前」の感覚ですら、今では通じなくなってしまったのかと……。
たしかに、事実だけを見れば「白い粉」を落として逃げただけであり、明白な犯罪をしているわけではないかもしれない。
しかし、普通に考えればモラルとして「やってはいけないこと」だとわかるはずだ。
そんな当たり前のことを共有できないことに、非常にやりきれない思いである。
恐らく、投稿者を擁護している者の根底には「犯罪でなければ何をしても許される」といった節があるのではないだろうか。
もしそうだとすれば、その考えは人としてあるまじき思想である。
古来より、人は「助け合い」の精神を持って集団で生きてきた。
「こうしたら相手に喜ばれる」「これをしたら周囲に迷惑が掛かる」
そういった相手の立場を読みとれる共感性は、動物にはない人だけが持っている能力だ。
その共感性を高めることが、よりよい社会を作ることに繋がるのである。
しかし、近年では他人の迷惑を考えず、ただ己の欲望のまま突き進む者が増えている。
その要因の一つとして考えられるのが、今回のように「やってはいけないこと」が咎められないことだ。
もちろん、擁護している人の中にはネタで言っている人もいるだろう。
だが、中にはそれを見て本当に賞賛されていると勘違いする者もいるのだ。
そういった者達の誤解を放置していれば、やがて今回の投稿者と同じように軽率な行動を取る者が現れるだろう。
最悪の場合、それが「普通」になってしまい、日本全体の民度が下がることになってしまう。
そうなってからモラルの重要性を説いたのでは遅いのである。
ましてや、今回は市民を守る立場の「警察」に向かってイタズラを仕掛けたのだ。
これがどのような影響をもたらすのか、擁護している人達はわかっているのだろうか。
動画内では、逃げる投稿者を一人の警察官が懸命に追いかけていた。
そのまま投稿者が画面からフレームアウトすると、次のシーンでは捕獲された投稿者と応援で駆けつけたパトカーが数台映し出されていた。
最終的には、この「白い粉」は単なるグラニュー糖だったというオチで動画は締められている。
ここで問題なのは、こんなくだらないことのために警察が動かされたということだ。
すでに理解している人もいると思うが、それはつまり、私達の税金が無駄遣いされたということを意味する。
パトカーを動かすガソリンもタダではない。
私達の税金で賄われているのだ。
それをこんな軽率な人間のために使われたと思うと、腹が立ってはこないだろうか。
なにより、もし今後、今回のことがきっかけで、誤認逮捕した警官が「本物の白い粉」を持っている人を見落とすことになったらどうするのだろうか。
そうなれば、それはもうイタズラで済まされるレベルではない。
日本全体の損害である。
擁護している人は、そういったことを何故わからないのだろうか……。
つくづくやるせない気持ちになってくる……。
モラルの低下を招く原因と解決策
近頃は「Youtuber」に憧れる人が増えている。
その人気ぶりは、「小学生が将来なりたい職業」にランクインするほどだ。
個人の可能性を広げられるYoutuberは、ある意味ではとても面白い存在である。
だが残念ながら、それに反比例するように日本のモラルが低下しているような気がしてならない。
もはや、個人の道徳意識に頼る時代は終わったのかもしれない。
そんな時代だからこそ、今後はより一層モラルを強化していく必要がある。
そのためにも「やってはいけないこと」には徹底的に処罰をつけ、幼少の頃から道徳観念を教育していかなければならない。
間違っても「面白ければ何をやってもいい」などという感性を持たせてはいけない。
そういう点では、今回、警察が投稿者を逮捕したことは英断だと思っている。
今回の逮捕で、今まで本気で「許される」と思い込んでいた層に対して、一応の線引きができたのだから。
少なからず抑止効果を期待できるだろう。
もちろん、そんな人は極一部であり、大半の人は常識人であると信じているが……。
もし今後、あなたがこのような動画を見つけたら、その時はネタであっても絶対に賛同するような真似はしないでもらいたい。
一人一人が倫理観を高めていけば、必ずモラルの高い社会は実現する。
一日でも早く、日本がそうなることを切に願っている。