HSPは結婚に向いてない。
自分がHSPだと自覚がある人ならば、こんな言葉を一度は聞いたことがあるだろう。
私自身もHSPなので、この件については常々深く考えていた。
なんとなく自分は結婚に向いてない気がするけど、いずれは結婚した方がいいんじゃないだろうか……。
そんな思考を幾度となく繰り返していた。
きっと私と同じように、結婚について悩むHSPの人は多いはずだ。
だが、そうして思考を巡らせるうちに、私なりの答えが見つかった。
結論から言うと、「HSPは結婚する必要がない」ということだ。
今回は、私の考えも踏まえ、結婚に悩むHSPの人に向けたHSPの結婚観について話したいと思う。
ただ、一つだけ注意してもらいたいのは、「結婚してはいけない」ではなく、アクマで「結婚しなくていい」ということ。
決して全てのHSPの結婚を否定してるわけではないので、そこだけはくれぐれも誤解しないでもらいたい。
HSPには結婚する意義がない
HSPがなぜ結婚する必要がないのか。
それを答えるためには、まずは結婚の意義を説明しなくてはならない。
あなたは「結婚は人生の墓場」という言葉を聞いたことがないだろうか。
昔から結婚の例えとして使われてる言葉で、テレビでも某お笑い芸能人がよく口にしているのを見かける。
果たして、この言葉の意味することは何なのか。
言葉通りに受け取れば、「結婚は人生の終焉を意味するほど辛い」という風に読み取ることができる。
しかし、私はこの言葉にはもっと深い意味が込められているのではないか、と思っている。
これはアクマで個人的な解釈だが、私は結婚というのは「修行の場」であると考えている。
修行だからこそ「楽しい」という感情よりも「辛い」という感情が湧くのだ。
では何の修行なのか。
それは相手をより深く理解するための「コミュニケーション」の向上を図るための修行である。
いくら結婚している夫婦といえど、厳密に言えば他人である。
育ってきた環境も違えば、価値観や嗜好も違う。
そんな二人が共同生活をしていくのだから、当然すれ違いや摩擦も起こるだろう。
だからこそ、円満な夫婦関係を築くためには、相手をより深く知るための「コミュニケーション」の努力が必要不可欠なのだ。
逆に言えば、結婚はコミュニケーション力を向上させるためには、これ以上ない修行の場と言えるだろう。
では、なぜHSPにはその修行が必要ないのか。
それは、HSPには元々相手の気持ちを察する能力が備わっているからだ。
HSPは感性が普通のより敏感で、相手の表情やちょっとした仕草、声のトーンなど、普通の人なら気づかないことでも瞬間的に察知し、相手の気持ちをすぐに共感してしまうのだ。
しかも、これは意識してやってるのではなく、無意識に読み取ってしまうのである。
だからこそ、結婚してしまうと、常に伴侶の感情に左右されることになる。
相手が明るい人ならまだいいが、「ネガティブな感情が強い人」や「気分にムラがある人」と結婚した場合、それだけでHSPは自分の精神に多大な影響を及ぼすことになるだろう。
それはつまり、自分の精神エネルギーがキャパオーバーになりやすい、ということを意味する。
そんなの気にしなければいい、という声も聞こえてきそうだが、それは無理な話だ。
先程も言ったように、HSPは無意識に相手の感情を読み取ってしまうのである。
これは自分の意思で切り替えられるものではなく、強制的に流れ込んでくるもの。
例えるなら、目の前にあるラジオからノイズ(感情)が垂れ流し続けられるようなものだ。
そして、そのラジオには電源スイッチがないのである。
HSPがノイズ(感情)を聴きたくなければ、自分がその場から離れるしかないのである。
必要以上の負荷は、自分を向上させるどころが、逆に毒になってしまう。
筋トレで言えば、それはもはやオーバートレーニングの領域だ。
気持ちを察する能力が高いがゆえに、HSPにとっての結婚は、自分自身を苦しめるだけのもになってしまう可能性が高いのである。
これがHSPが結婚する必要がない理由の一つ目だ。
HSPの性質が結婚と相性が悪い
HSPが結婚する必要がない二つ目の理由は、HSPは基本的に孤独への耐性が強いからである。
HSPの性質を持つ人は、同時に内向型である傾向が高い。
内向型の人間は、基本的に他人との交流を必要としない。
本を読んだり、映画を観たり、音楽を聴いたりと、一人の時間を満喫することに幸せを感じるのだ。
中にはHSS型のHSPという刺激を求めるタイプもいるが、そういうタイプのHSPでも、一人の時間は必要不可欠である。
HSPにとって、一人の時間を持つことは、精神エネルギーを補充するための大切な行為だからだ。
しかし、この性質こそがHSPが結婚するためのアダとなってしまう。
なぜなら、結婚すれば一人の時間を持つことが難しくなるからだ。
結婚とは、伴侶と生涯共に歩むことへの誓いである。
喜びも苦しみも分かち合い、人生を夫婦二人三脚で歩んでいく。
一般的に見れば、とても美しく尊い関係だろう。
だが、それは逆に言えば、人生を自分だけのために使うわけにはいかない、ということである。
夫婦である以上、何をするにも相手を考慮する必要性が出てくる。
毎日の食事や休日の過ごし方、就寝時間など、大きなことから小さなことまで、相手ありきの行動になるのは当然のことだ。
独身時代のように、すべてを自分の好きなように行動する、ということは基本的にはできないだろう。
子供ができれば尚更である。
この誓約こそが、HSPを苦しめる要因になるのだ。
前述したように、HSPには一人の時間を持つことが必要不可欠だ。
それはHSPの生命維持に必要な行動だからである。
だが結婚すれば、その生命維持活動を脅かされる危険性があるのだ。
相手も自分と同じように、一人の時間を好むタイプならまだいいだろう。
だが、もし常に一緒にいることを好むような人間が伴侶となれば、HSPはそれだけで負担になることは間違いない。
一般的に、HSPは結婚に向いてない、と言われるのはこういった理由からだ。
生涯相手との関係を断つことができない結婚という制度。
普通の人にとっては、それはメリットになる側面が大きいだろう。
本来、人間は群れで生活する生き物であり、大半の人は孤独が寂しいと感じるからだ。
だが、HSPにとっては、孤独は必ずしも悪い要素ではないのである。
逆に、常に一緒にいることを強いられる方が精神的に辛いのだ。
私が思うに、この性質はHSPに備わった防衛本能ではないかと思っている。
前述したように、HSPは刺激に敏感な性質で、無意識に相手の本質や場の空気を察してしまう。
HSPが完全に気を休めるためには、一人になるしかないのだ。
だからこそ、HSPには孤独の耐性が備わっているのではないだろうか。
いうなれば、この性質はHSPが生きていくための生存戦略なのである。
だが残念なことに、この性質は結婚とは非常に相性が悪い。
「HSPは結婚しなくていい」と私が考えるのは、こういった理由からだ。
HSPが結婚するために必要な心構え
現代社会では昔に比べて、結婚する人が圧倒的に少なくなっている。
これを社会問題として捉えることもできるが、個人の幸せの観点からすれば、一概にそうとも言えないのではないだろうか。
「結婚すれば誰もが幸せになれる」という考えは、あまりにも安直な発想だ。
今回話したように、HSPの人なら尚更結婚には慎重になった方がいい。
なぜ自分は結婚するのか、そのことを深く考えてから決断を下すべきである。
間違っても、世間体や親のためなど、自分の意思とは関係ない外的要因で決めてはならない。
もし、そんな決め方で結婚すれば、自分だけでなく、伴侶となる相手までも不幸にしてしまうだろう。
結婚の判断はアクマで自分の内的要因で決めるべきだ。
個人的には、「自分の人生をこの人のために捧げたい」と思えるくらいの決心がなければ、HSPは結婚に踏み切らない方がいいと思っている。
HSPはただでさえ普通の人よりも結婚に向いてない性質を持ち合わせているのだ。
そんな人間が結婚しようと思うなら、「相手の人生を背負う」くらいの覚悟を持たなければ、とてもやっていけないだろう。
どうか、HSPの人はそのことだけは忘れないで欲しい。
決して安易な気持ちで結婚して、後から相手を悲しませるようなことだけはしないでもらいたい。
まずは自分の性質を知り、自分は本当に結婚する必要があるのかどうか、そのことを見極めてからでも遅くはないのだから。